「人を愛する前に、まず自分自身を愛さなければならない」という古い格言があるが、これは自分の筋肉のつき具合に強い不満を抱いている少年や若い男性に、特に当てはまるかもしれない。新たな研究で、筋肉醜形障害(ビゴレキシア)の症状が強い少年や若い男性ほど、勃起障害をはじめとするさまざまな性機能に関する問題を抱えている可能性が高いことが明らかになった。トロント大学(カナダ)准教授のKyle Ganson氏らによるこの研究結果は、「Body Image」12月号に掲載された。筋肉醜形障害とは、自分の体格や筋肉のつき具合に強い不満を抱き、筋肉を大きくすることに病的なまでにこだわり、日常生活にも支障を来す状態を指す。Ganson氏は、「筋肉醜形障害は、身体への不満、強迫的な運動、筋肉質な体型の追求といった観点から捉えられることが多い。しかし、今回の研究結果は、その影響が親密な対人関係や性的な経験にも及ぶ可能性を示唆している」とニュースリリースで述べている。今回の研究では、カナダと米国に在住する15~35歳の少年および男性を対象に、2024年3~4月に実施されたオンライン調査のデータを解析した。解析対象は、過去に一度でも性行為(口腔性交、腟性交、肛門性交のいずれか)を経験したことのある1,116人で、平均年齢は25.5歳だった。参加者には、Muscle Dysmorphic Disorder Inventory(MDDI)を用いて筋肉醜形障害の症状の評価を行うとともに、過去12カ月間に、3カ月以上にわたって性機能に関する問題を経験したかどうかを尋ねた。性機能については、性行為への関心の低下や性行為中の不安、性的興奮の欠如、勃起の問題など8項目を評価した。その結果、筋肉醜形障害の症状が強い人ほど、さまざまな性機能に関する問題を抱えている傾向が強いことが示された。特に、自分の外見に対する不安や、身体を人に見られることを避ける傾向が強い人では、性行為への関心の低下、性行為中の不安、性的興奮の欠如、オーガズムに達することができない、または達するまでに時間がかかるといった問題、勃起の問題など、調査した8項目の性機能に関する問題のうち7項目との間に有意な関連が認められた。最も強い関連が認められたのは性行為中の不安だった。一方、本人が望むよりも早くオーガズムに達することについては、筋肉醜形障害の症状との有意な関連は認められなかった。Ganson氏は、「考えられる説明の一つは、自分の身体への強い不満や、人からどう見られるかを過度に意識することによって、性行為中にそのときの体験に意識を向けたり、リラックスしたりすることが難しくなるというものだ。自分の身体がどのように見えるかを強く気にしたり、パートナーに身体を見られることを不安に感じたりしていると、そうした思考が性的関心や興奮、満足感、性機能を妨げる可能性がある」と説明している。今回の結果は、これまで蓄積されてきた、ボディイメージ(自分の身体に対する認識や評価)と性的ウェルビーイングの密接な関連を示すエビデンスに新たに加わるものだ。自分の身体に対する不満や羞恥心などは、性行為中にリラックスしたり、性的な経験に集中したりすることを難しくする可能性がある。また、筋肉を増やすために行われる過度な筋力トレーニング、厳しい食事制限、アナボリックステロイドの使用なども、性機能に悪影響を及ぼす可能性があるという。Ganson氏は、「ボディイメージと性的健康は、健康上の別々の問題として扱われることが多いが、実際には深く結び付いている可能性がある。少年や男性の中には、自分の身体に対する苦痛や悩みに対処することが、性生活で経験している問題を理解する上でも重要となる人がいるかもしれない」と述べている。そのため、同氏は、身体への不満が強い少年や男性を診察する際には、医療従事者が性機能についても確認することが重要だと指摘する。(HealthDay News 2026年10月7日) https://www.healthday.com/health-news/sexual-health/muscle-fixation-linked-to-sexual-problems-among-men-boys Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock