一般的な治療薬に耐性を示すHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染している患者でも、新たな長時間作用型薬の併用により、再びウイルスの増殖を抑制できる可能性があるようだ。毎日錠剤を服用することが難しいHIV感染者では、1~2カ月間隔で投与するカボテグラビルとリルピビリンを組み合わせた注射療法も治療選択肢となる。しかし、HIVはリルピビリンに対する耐性を獲得することがあり、その場合、一部の患者では使用が制限される。こうした中、リルピビリンが属する薬剤クラスに耐性を示す患者を多く含む集団で、レナカパビルとカボテグラビルを用いた併用療法により、ウイルス抑制を長期的に達成・維持できる可能性が示された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学教授のMonica Gandhi氏らによるこの研究結果は、10月8日付で「JAMA Network Open」に掲載された。論文の上席著者であるGandhi氏は、「臨床医はすでにレナカパビルとカボテグラビルの併用を始めているが、これまでは治療の指針となるエビデンスがほとんどなかった」とニュースリリースで述べている。カボテグラビルは、HIVの増殖に不可欠な酵素であるインテグラーゼの働きを阻害するインテグラーゼ阻害薬(INSTI)の一種で、ウイルスDNAがヒトDNAに組み込まれるのを防ぐ。レナカパビルは、HIV-1の増殖を抑制するHIVカプシド阻害薬で、ウイルス内部の殻を構成するタンパク質であるカプシドタンパク質を標的とし、ウイルスの生活環の複数の段階を阻害する。一方、リルピビリンは、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)と呼ばれる薬剤群に属し、HIVが自身のRNAをDNAに逆転写する過程を阻害することでHIVの増殖を抑制する。今回の研究でGandhi氏らは、UCSFのWard 86 HIVクリニックでレナカパビルとカボテグラビルの併用療法を受けた46人の患者(平均年齢47.1歳、男性69.6%)の診療録を用いた後ろ向き症例集積研究を行った。このうち33人(71.7%)にNNRTI耐性が認められた。INSTI耐性を示した患者は4人(8.7%)だった。レナカパビルによる治療開始時に、22人(47.8%)はウイルス抑制(HIV RNA量が200コピー/mL未満)が得られていたが、24人(52.2%)はHIV RNA量が200コピー/mL以上のウイルス血症が認められた。また、17人(37.0%)ではリルピビリンも併用されていた。治療開始時にウイルス血症が認められた24人中の14人(58.3%)では、治療開始時のCD4陽性細胞数が200個/mm3以下であった。その結果、レナカパビルによる治療開始時にウイルス抑制が得られていなかった全ての患者で、13週以内にウイルス抑制を達成した。追跡期間の中央値は100週(約2年)であり、この間、全ての患者でウイルス抑制が達成・維持され、HIV RNA量が200コピー/mLを超える状態が連続して認められた患者はいなかった。Gandhi氏は、「この併用療法を検討した研究としては、これまでで最大の患者集団を対象としている。今回の結果は、医療従事者がより自信を持ってこの治療を使用する助けになる可能性があると考えている」と述べている。なお、本研究は連邦政府の助成金を受けて実施され、製薬企業からの支援は受けていない。(HealthDay News 2026年10月9日) https://www.healthday.com/health-news/infectious-disease/new-drug-combo-restores-hiv-control Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock