新たな研究で、世界の認知症の年間新規発症者数は、2023年の1140万人から、2050年には2470万人に増加すると推計された。女性や低・中所得国の人では認知症の発症率がより高いことも示されたという。ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のAshleigh Vella氏らによるこの研究の詳細は、10月12日付で「JAMA Neurology」に掲載された。この研究には関与していない米ノースウェル健康長寿研究所で研究・イノベーション部門の責任者を務め、米ファインスタイン医学研究所の教授でもあるLiron Sinvani氏は、「認知症の新規発症者数の規模の大きさには驚くばかりだ。これは将来の問題ではない。認知症の増加ペースは加速しており、ただちに対応すべき危機である」と述べている。今回の研究では、Cohort Studies of Memory in an International Consortium(COSMIC)のデータを用いて、6大陸、18の国・地域で行われた22件の研究の参加者3万8,418人について、年齢および性別ごとの新規認知症発症率を推定した。対象者のベースライン時の年齢は60~102歳で、低・中所得国の人が1万1,740人(30.6%)、女性が2万2,167人(57.7%)を占めていた。 評価回数の中央値は4回であり、追跡期間中に3,001人が認知症の診断を受けていた。年齢および性別で標準化した世界の認知症の新規発症率は1,000人年当たり9.7人であった。年齢・性別ごとの認知症発症率が経時的に変化しないという仮定の下で、これらの発症率を2023年の人口に当てはめると、年間の新規発症者数は約1140万人と推定された。また、認知症の年齢標準化発症率は、1,000人年当たり女性10.6人、男性8.6人であり、女性の方が統計学的に有意に高かった(p<0.001)。さらに、国の所得水準別に見ると、年齢および性別で標準化した認知症の発症率は、1,000人年当たり高所得国で8.3人、低・中所得国で13.6人であり、低・中所得国の方が統計学的に有意に高かった(p=0.02)。2050年の世界人口の年齢・性別構成を考慮した認知症の推定発症率は、1,000人年当たり11.7人であった。これは、2050年の1年間に世界で2470万人が新たに認知症を発症することに相当し、2023年と比べると年間の新規発症者数は2倍以上になると推計された。Sinvani氏は、こうした予測は世界的な健康危機を示していると結論付けている。同氏は、「医療システムは、診断やケアの需要の大幅な増加に備えなければならない。特に、増加が最も急速になる低・中所得国では、その必要性が高い。認知症のケアには介護者による多大な支援が必要で、費用も非常に高額になることが分かっている。より充実した基盤が必要になる」と述べている。一方、認知症の予防に力を入れることで、この厳しい予測を和らげられる可能性があると、Sinvani氏は付け加えている。同氏は、「修正可能なリスク因子として確立されているものは14項目あり、認知症の症例の半数近くはこれらの因子に関連していると推定されている。全ての医療システムと一人一人が、対策に取り組まなければならない」と述べている。Sinvani氏は、「教育を充実させ、身体活動を増やし、肥満を改善する必要がある。血圧、糖尿病、コレステロールを管理する必要もある。身体活動や社会との関わり、教育を積極的に推進し、喫煙や大気汚染を減らすことが必要だ。こうした取り組みはいずれも、われわれが直面している状況の今後の推移を変え得る」と締めくくっている。(HealthDay News 2026年10月14日) https://www.healthday.com/health-news/mental-health/dementia-expected-to-double-worldwide-by-2050 Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock