昼寝の習慣は認知症の警告サインかもしれない。新たな研究で、高齢者においては、意図せず眠り込むこと、頻繁に昼寝をすること、あるいは30分以内の短い昼寝をすることは、認知症発症リスクの上昇と関連することが示された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のKening Jiang氏らによるこの研究の詳細は、8月25日付で「The Journals of Gerontology」に掲載された。Jiang氏は、「昼寝の習慣を観察することは、認知症リスクの高い高齢者を早期に特定し、認知症予防のために対象を絞った介入につなげる上で、手軽に利用できる指標として役立つ可能性がある」とニュースリリースで述べている。この研究では、65歳以上のメディケア受益者を対象にしたパネル調査「National Health and Aging Trends Study(NHATS)」のデータを用いて、昼寝の習慣とほぼ確実な認知症または認知症疑い(以下、認知症)の発症との関連を検討した。主要解析の対象は、NHATSの第3回調査に参加し、睡眠に関する追加調査で昼寝に関する質問に回答した1,577人のうち、健康状態や睡眠、認知症の有無などに関する必要なデータが揃い、研究開始時点(2013年)で認知症(疑い例を含む)に該当せず、2014~2023年の追跡調査に1回以上参加した995人とした。睡眠に関する調査では、昼寝の頻度(昼寝をしない、たまにする、頻繁にする)、昼寝の意図の有無(昼寝をしない、意図的、非意図的)、昼寝の時間(昼寝をしない、30分以内、30分超)が調査された。その結果、人口統計学的特徴、健康状態、睡眠関連の因子を調整した解析では、頻繁に(ほぼ毎日、または毎日)昼寝をする人は、昼寝をほとんど、あるいは全くしない人と比べて、認知症の発症リスクが48%高かった(ハザード比〔HR〕1.48、95%信頼区間〔CI〕1.14~1.94)。また、意図せず昼寝をする人は、昼寝をほとんど、あるいは全くしない人と比べて認知症の発症リスクが39%高かった(HR 1.39、95%CI 1.06~1.81)。一方、たまに昼寝をすることや意図的に昼寝をすることと認知症発症との間に有意な関連は認められなかった。さらに、昼寝をほとんど、あるいは全くしない人と比べて、30分以内の昼寝をする人では認知症リスクが40%高かった(HR 1.40、95%CI 1.06~1.85)。30分超の昼寝と認知症発症との関連は、睡眠関連因子でさらに調整すると弱まり、統計学的に有意ではなくなった(HR 1.28、95%CI 0.96~1.69)。研究グループは、昼寝と認知症には双方向の関連があるとみている。昼寝は認知症のリスク因子となる可能性がある一方で、認知症に伴い覚醒状態の調節に関わる脳領域が変性し、その結果、昼寝の頻度が増える可能性もあるという。ただし研究グループは、今回の研究は日中の昼寝と認知症の直接的な因果関係を証明するものではなく、両者が関連する可能性を示したに過ぎないとしている。昼寝と認知症リスクの関係をより深く理解するためには、より大規模で長期にわたる研究が必要である。論文の上席著者で同大学院メンタルヘルス学科教授のAdam Spira氏は、「昼寝の頻度が高いことは、認知症につながる脳の変化を引き起こす原因というよりも、脳に変化が起きていることを示す指標である可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2026年10月16日) https://www.healthday.com/health-news/senior-health/napping-linked-to-dementia-risk Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Prostock-studio/Adobe Stock