生後5年間で、食物や環境中のアレルゲンに対して感作が認められる小児の割合は増加し、感作されるアレルゲンの種類も変化することが、新たな研究で明らかになった。ザンクト・ペルテン大学病院(オーストリア)小児・思春期医学部門長のThomas Eiwegger氏らによるこの研究の詳細は、9月16日付で「Allergy」に掲載された。Eiwegger氏は、「特に幼い子どもの場合、アレルギー検査で陽性になったからといって、その状態が生涯続くとは限らない。感作が持続するのか、消失するのか、あるいは後になって新たに生じるのかを知る必要がある。個々のアレルゲンコンポーネントを調べることで、リスクや治療選択肢について家族と話し合う際に役立つ貴重な情報が得られる」と述べている。この研究では、カナダで実施されている長期追跡研究CHILD Studyに参加した母子500組の血液検体が分析された。これらの母子は、血液検体の利用可能性に加え、子どもの皮膚プリックテストの結果や、喘息およびアトピー性皮膚炎の有無を考慮して選定された。母親からは妊娠時、子どもからは1歳時と5歳時に血液検体を採取し、約300項目のアレルゲン抽出物およびアレルゲンコンポーネント(以下、総称して「アレルゲン」)に対する特異的IgE抗体値を測定し、少なくとも1項目に対する抗体値が0.3 kUA/L以上の場合を「感作陽性」と定義した。その結果、皮膚プリックテストでは、1歳時に1種類のアレルゲンに感作されていた子どもの割合は16.6%、複数のアレルゲンに感作されていた割合は6.3%だったのが、5歳時にはそれぞれ18.6%と17.0%に増加していた。また、特異的IgE抗体検査で、少なくとも1種類のアレルゲンに対して感作が認められた小児の割合は、1歳時で25.3%、5歳時で40.4%だった。 1歳時に感作が多く認められた食物は、鶏卵、ピーナッツ、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツであり、特に鶏卵への感作率が9.3%と最も高く、次いでピーナッツが7.2%だった。5歳時では、ピーナッツへの感作率は6.1%に低下したものの、依然として最も高かった。一方、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツへの感作率は1歳時よりも高く、ピスタチオも5歳時には主要な食物アレルゲンの一つとなっていた。さらに、成長に伴い、ネコやイヌ、ダニ、イネ科植物の花粉など、環境中のアレルゲンに対する感作も増加していた。小児期のアレルゲンコンポーネントに対する感作は、持続する場合もあれば、消失したり新規に成立したりする場合もあった。例えば、ピーナッツのアレルゲンコンポーネントであるAra h 2では、1歳時に感作されていた小児の約4人に1人では、5歳時までに感作が消失していた一方、同程度の割合で新たな感作も認められた。この期間内に感作が消失した小児の割合が最も高かったのは、鶏卵やゴマのアレルゲンコンポーネントに対する感作であった。ただし、この研究では臨床的な食物アレルギーを確認するための経口食物負荷試験は実施されておらず、感作の消失が必ずしもアレルギーの治癒を意味するわけではない。Eiwegger氏らは、今回の結果は食物アレルギーの治療方針を検討する上で役立つ可能性があるとの見方を示している。例えば、小児の感作が新たに生じたものなのか、持続しているものなのか、あるいは消失したものなのかによって、医師が治療方針を調整することも考えられる。また、同氏らは、これらの知見が医療者と患者側の共同意思決定に役立つほか、今後の臨床試験を計画するための重要なデータにもなると指摘している。(HealthDay News 2026年10月19日) https://www.healthday.com/health-news/allergies/food-allergies-change-as-toddlers-grow-older Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock