スマートフォン(以下、スマホ)の使用によって10代の若者の睡眠が損なわれている可能性があることが、新たな研究で示された。夜遅くまでスマホを使用する10代の若者では、入眠時刻が遅くなり睡眠時間が短くなるだけでなく、入眠後の覚醒時間が長くなる傾向が認められたという。この研究を実施した米シアトル小児研究所一般小児科学教授のDimitri Christakis氏らは、「夕方以降、特に午後10時以降や就寝直前のスマホ使用を減らすことが、青少年の睡眠の改善に役立つ可能性があることを示唆する研究結果」と結論付けている。詳細は10月19日付で「JAMA Pediatrics」に掲載された。Christakis氏らは今回、青少年の脳の発達に関する進行中の研究(ABCD研究)への参加者である青少年425人(平均年齢14.8歳、女子50.8%)のデータを解析した。参加者は、少なくとも14日間のEffortless Assessment Research SystemアプリケーションデータとFitbitで測定された睡眠データが揃うアンドロイドユーザーで、収集された睡眠のデータは計7,591日分に上った。午後8時から午前0時までの1時間ごとの各時点以降におけるスマホの使用状況(累積使用)と、入眠前5~30分間のスマホの使用状況(入眠直前の使用)を定量化した。その結果、午後10時以降のスマホの使用時間が本人の平均使用時間を超えていた夜には、平均未満だった夜と比べて、睡眠時間が20.05分短く、入眠時刻が平均で64.73分遅かった。さらに、午後10時以降のスマホ使用時間が本人の通常の使用時間を1分上回るごとに、入眠時刻は0.87分、睡眠終了時刻は0.37分遅くなり、総睡眠時間は0.43分短くなるという関連が認められた。こうした関連は、スマホの使用時間を集計する基準時刻が午後8時から午前0時へと遅くなるほど強くなった。さらに、入眠直前のスマホ使用は、入眠後の持続的な覚醒時間の増加と関連しており、入眠前5分間のスマホ使用時間が本人の平均より1分長いごとに、入眠後の持続的な(3分以上)覚醒時間が0.74分長くなるという関連が認められた。この関連は、主に入眠後30分以内に認められた。この研究には関与していない、米ノースウェル・ヘルスの児童・思春期精神科医で睡眠医学の専門医でもあるDaniel Bigman氏は、「この研究の要点は、スマホの使用によって寝る時刻が遅くなり、安定した睡眠に入りにくくなることが示されたということだ」と述べている。Bigman氏によると、これにはいくつかの理由が考えられるという。同氏は、「まず、就寝前に何らかの活動をすれば、その分だけ睡眠に充てる時間が削られる。10代の若者はスマホを使用することで、単純に夜更かしをしてしまう可能性がある」とニュースリリースの中で説明している。 また、Bigman氏は、「ソーシャルメディア、動画、メッセージのやり取り、通知、画面が放つ光などは、いずれも目や耳といった感覚器官を通じて脳に伝達されるシグナルとなる。本来は眠りに向けて脳の活動が落ち着いていく時間帯に、こうしたシグナルは脳に覚醒状態を維持するよう働きかけてしまう」と指摘し、スマホによる脳への刺激が睡眠に影響を及ぼす可能性もあるとしている。さらに同氏は、睡眠と覚醒のサイクルの調節で光が重要な役割を果たしていることを指摘し、スマホが放つ光が睡眠サイクルを乱す可能性についても言及している。Bigman氏は、今回の研究について、10代の若者がスマホの使用を何時ごろまでにやめるのが望ましいかを示唆した初めての研究の一つだと述べるとともに、10代の若者にとって質の高い睡眠を十分に確保することが重要だと強調している。Bigman氏は、親は子どもにスマホを取り上げると脅すのではなく、スマホを使う代わりに「刺激が少なく、心身を落ち着かせる別の活動」をするよう促すことが望ましいとの見解を示している。具体的には、読書、音楽鑑賞、リラックス効果のある運動、ストレッチなどの活動は、眠りにつきやすい状態を整えるのに役立つことが知られているとしている。(HealthDay News 2026年10月21日) https://www.healthday.com/health-news/sleep-disorder/smartphones-are-wrecking-teens-sleep-study-says Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock