歩く速さがその人の死亡リスクを予測する手がかりになるかもしれない。歩行速度が速い人や歩行率(1分間当たりの歩数を示す指標)が高い人は、全死因死亡リスクが低いことが示された。ノルウェー科学技術大学公衆衛生・看護学部門のRayane Haddadj氏らによるこの研究結果は、10月23日付で「JAMA Network Open」に掲載された。研究グループは、「日常生活での歩行率は、1日当たりの歩数を調整した後も、一貫して全死因死亡リスクとの関連が認められた」と述べている。歩行速度は全死因死亡リスクと関連することが示されている。こうした研究で用いられる歩行速度は、通常、短距離の歩行検査によって算出されるものであり、日常生活での歩行速度を必ずしも反映していない。これに対し、日常生活の中で加速度計を用いて測定できる歩行率は、臨床検査で測定する歩行速度を補完する指標、またはその代わりの指標として活用できる可能性がある。そこでHaddadj氏らは、臨床検査で測定した歩行速度と日常生活で測定した歩行率が、全死因死亡リスクに対して同程度の識別能を持つかどうかを検討した。研究では、1980年代後半に開始された健康調査研究(Whitehall II研究)の参加者である英国の公務員4,067人(平均年齢69.3歳、男性74.4%)のデータを解析した。参加者は4~5年ごとに臨床検査を受けており、2012~2013年には2.44 mの歩行コースを普段通りの速さで歩く臨床検査によって歩行速度を測定したほか、手首に加速度計を9日間連続で装着して日常生活での歩行率を測定し、その中央値と95パーセンタイル値を算出した。社会人口統計学的因子、行動因子、および健康関連因子を調整して解析した結果、臨床検査で測定した歩行速度が1標準偏差(SD)高い場合、追跡期間中の全死因死亡リスクが23%低いことが示された(ハザード比0.77、95%信頼区間0.71~0.84)。また、日常生活での歩行率の中央値が1 SD高い場合では17%、歩行率の95パーセンタイルが1 SD高い場合では18%、それぞれ全死因死亡リスクが低かった。さらに、全死因死亡リスクに関する歩行速度と歩行率の識別能は同程度だった(C統計量は、臨床検査での歩行速度で0.747、歩行率中央値で0.744、歩行率の95パーセンタイルで0.745)。ただし、既知の死亡リスク因子を含むモデルの識別能を有意に高めたのは、臨床検査で測定した歩行速度のみだった。米ノースウェル・スタテンアイランド大学病院の内科部長であるTheodore Strange氏は、「歩く速さと長寿が関連する理由はいくつも考えられる。速いペースで歩けることは、慢性疾患が少なく、何らかの病気があったとしても適切に管理されていることを示唆している」と説明する。一方、健康状態が悪化した場合、「歩行速度は、最初に低下する身体機能の指標の一つかもしれない」と同氏は指摘する。Strange氏は、「歩行速度を速くしたい人は、まず自分にとって無理のない速度から始め、時間をかけて徐々に1分間当たりの歩数を増やしていくと良い」とアドバイスしている。同氏はまた、「つまずきなどの危険性を考えると、おそらく歩幅を大きくするよりも、小さな歩幅で歩く方が安全だろう」と付け加えている。さらに、歩く際には姿勢にも注意し、背筋を伸ばして肩を後ろに引き、肩の力を抜いて腕を振りながら歩くことが大切だという。またStrange氏によると、一般的に目標としてよく挙げられる1日1万歩を必ずしも達成する必要はないという。同氏は、「まずは、現在の1日当たりの歩数を数日間記録することをお勧めする。その後、1日の歩数を5,000~6,000歩まで増やし、さらに7,000歩、8,000歩を目指すとよい。時間と体力、意欲があり、1万歩まで増やせるなら、それは素晴らしいことだと思う。ただ、私としては、7,000~8,000歩程度がちょうど良い目標だと考えている」と同氏は述べている。(HealthDay News 2026年10月27日) https://www.healthday.com/health-news/exercise-and-fitness/step-to-it-brisker-walking-tied-to-longer-life Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Handsome mature man walking in park Adobe Stock