65歳以上の高齢2型糖尿病患者が低血糖を起こさないためには、血糖変動を抑え、平均血糖値も下げ過ぎない包括的な管理が重要であることを、千葉大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科の横手幸太郎氏と越坂理也氏らの研究グループが持続血糖測定(CGM)データを用いた研究で明らかにした。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に4月11日掲載された。高齢の糖尿病患者では重症低血糖を来しやすく、この回避は重要な課題の1つとされる。重症低血糖は認知機能の低下や転倒による骨折、脳卒中、心血管イベントのリスクを増加させることが明らかにされている。日本糖尿病学会と日本老年医学会による合同委員会は、2016年に高齢糖尿病患者の血糖コントロール目標を作成し、こうした患者の目標値は認知機能や日常生活動作(ADL)、併発疾患などを考慮して個別に設定すべきとの考えを示している。.研究グループは今回、高齢の2型糖尿病患者を対象に行ったCGMデータを用いて、低血糖(CGMで測定された血糖値70mg/dL未満と定義)のリスク因子を後ろ向きに検討する研究を行った。.研究では、65歳以上の高齢2型糖尿病患者170人を対象に、2011~2016年に行ったCGMデータを後ろ向きに解析し、血糖降下薬の種類、血糖変動、平均血糖値やHbA1c値による低血糖リスクへの影響を調べた。対象は現行の治療で血糖コントロールが安定しており、CGM中に治療を変更しなかった患者とした。対象患者の平均年齢は74.1±6.7歳、平均HbA1c値は8.2±1.8%であり、CGMの平均施行日数は3.7日間であった。.対象患者を、低血糖を認めた群と認めなかった群に分けて単変量解析した結果、低血糖リスクはインスリンを使用中の患者で高く(オッズ比2.17、95%信頼区間1.16~4.08、P=0.015)、DPP-4阻害薬を使用中の患者で低い(同0.47、0.25~0.89、P=0.019)ことが分かった。一方で、HbA1c値には両群間で有意な差は認められなかった。.また、ロジスティック回帰分析の結果、低血糖リスクは血糖変動幅が大きい患者に比べて変動幅が小さい患者で有意に低く(同0.87、0.83~0.91、P<0.0001)、さらに、平均血糖値が高い患者に比べて低い患者で有意に高い(同1.09、1.06~1.12、P<0.0001)ことも明らかにされた。なお、ロジスティック回帰分析によると、インスリンやDPP-4阻害薬の使用と低血糖リスクとの関連に有意性はみられなくなった。(HealthDay News 2017年4月24日).Abstracthttp://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12676/full.Copyright (c) 2017 HealthDay. All rights reserved.