CAVIは心不全の予後と関連

CAVIは心不全の予後と関連

動脈硬化の指標とされる心臓足首血管指数(cardio-ankle vascular index;CAVI)は、心不全入院患者の予後と有意に関連するという研究結果が発表された。東邦大学大学院医学研究科循環器内科学の木内俊介氏らが日本人患者を対象に行った研究であり、「Journal of Clinical Medicine」に5月6日掲載された。

大動脈は「Windkessel効果」と呼ばれる機能を持ち、収縮期に左室から拍出された血液の一部は大動脈に蓄えられ、その血液は拡張期に末梢に送り出される。この血管機能の破綻は心不全の一因とされるが、血管機能障害と心不全の予後との関係は完全には解明されていない。また、心不全の治療は進歩しているものの、心不全患者の死亡率や再入院率は低下しておらず、適切な予後の評価と治療が重要となる。

そこで著者らは、2012年1月から2018年7月に東邦大学医療センター大森病院に入院後、退院して1年間追跡できた心不全患者214人を対象とする後方視的研究を行った。血圧は入院時と退院時に測定され、CAVIは心不全の改善後に評価された。心血管死亡または心不全による再入院を主要有害心イベント(major adverse cardiac event;MACE)と定義し、退院後1年間のMACE発生に関連する因子を調査した。

その結果、MACE発生群(57人)はMACE非発生群(157人)と比べて、退院時の平均年齢が高く(70.9±10.1歳対64.2±13.9歳)、男性の割合が低く(56.1%対73.2%)、BMI平均値が低く(21.4±5.0対23.8±4.9)、心不全の既往歴(42.1%対21.7%)と慢性腎臓病の既往歴(82.5%対51.0%)のある人の割合が高いなどの特徴が認められた。

また、MACE発生群の方が、入院時の胸部X線による心陰影および経胸壁心エコーによる左室サイズが有意に大きく、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の割合が有意に高かった。入院時の収縮期血圧、拡張期血圧は両群間で有意差はなかったが、CAVIに有意差が認められた。MACEリスクとの関連について、Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析を行った結果、CAVIはMACE発生の独立予測因子であることが明らかとなった(モデル1:ハザード比1.33、95%信頼区間1.05~1.68、モデル2:同1.31、1.07~1.60)。

さらに、ROC曲線から、MACE発生を予測するCAVIのカットオフ値は9.0であることが示された(感度0.554、特異度0.754、AUC 0.66)。このカットオフ値を用いて生存曲線を比較すると、CAVI高値群は低値群と比べて、MACE発生率が有意に高かった。MACEのうち、心血管死亡率についてはCAVI高値群と低値群で有意差は示されなかったが、心不全による再入院率では有意差が認められた。

以上の結果から著者らは、「CAVI高値は心不全の予後不良と関連するため、これらの患者にはより慎重な治療が必要だ」と述べている。また、今回の研究は後方視的研究であり、患者のQOLや生活環境、看護ケアなどは評価していないと説明し、より大規模な前向き研究の必要性を指摘している。(HealthDay News 2024年6月17日)

Abstract/Full Text

https://www.mdpi.com/2077-0383/13/9/2719

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