食生活を変えることで中高年の慢性便秘リスクを軽減できることが、新たな研究で示された。検討した5つの食事パターンの中で便秘予防効果が最も高かったのは、地中海食とプラントベース食であることが示されたという。米マサチューセッツ総合病院のKyle Staller氏らによるこの研究の詳細は、「Gastroenterology」に7月2日掲載された。 Staller氏は、「慢性便秘は何百万人もの人に影響を与えており、患者の生活の質(QOL)に重大な影響を与える可能性がある。この研究結果は、年齢を重ねるにつれて、特定の健康的な食事が既知の心血管系への効果だけでなく腸にも効果をもたらす可能性があることを示唆している」と話している。 この研究では、医療従事者の健康状態を追跡する3つの研究のデータを分析し、5つの食事パターンおよび食事指標と慢性便秘との関連が検討された。5つの食事パターンおよび食事指標とは、代替地中海食(aMED)、低炭水化物食(LCD)、西洋式食事、植物性食品指数(plant based dietary index;PDI)、経験的炎症性食事パターン(empirical dietary inflammatory pattern;EDIP)であった。地中海食は、野菜、果物、豆類、レンズ豆、全粒穀物、ナッツ類、種子、オリーブ油、ハーブ、スパイスを多く摂取し、乳製品、魚、鶏肉は週に数回の摂取にとどめる一方で、赤肉や加工肉の摂取は控えめにする食事法である。一方、西洋式食事では、赤肉や加工肉、精製穀物、脂肪分の多い食品、甘いお菓子が多く摂取される。 対象者は、Nurses’ Health Study(NHS)参加女性2万7,774人(平均年齢78.4歳)、NHS II参加女性5万5,906人(同60.5歳)、およびHealth Professional Follow-up Study(HPFS)参加男性1万2,237人(同78.6歳)であった。これらの参加者は、それぞれの研究の一環として定期的に食事に関する調査に回答しており、その調査結果から、5つの食事パターンおよび食事指標の長期的な遵守状況が評価された。慢性便秘は、過去1年間で12週間以上繰り返し報告された便秘症状を基に特定された。 2〜4年間の追跡期間中に7,519件の便秘が発生していた。解析の結果、aMEDの遵守度が最も高い最高五分位群では、最も低い最低五分位群と比較して慢性便秘の発症リスクが16%低いことが示された。同様にPDIでも、最高五分位群では最低五分位群に比べて同リスクが20%低かった。一方、EDIP、西洋式食事の最高五分位群では最低五分位群に比べて慢性便秘の発症リスクがそれぞれ24%、22%上昇しており、LCDでも3%の上昇傾向が認められた。 Staller氏は、「この研究結果は、野菜やナッツ類、健康的な脂肪を豊富に含む食生活が中高年の慢性便秘の予防に役立つ可能性があることを示唆している」と結論付けている。また研究グループは、「健康的な食事が便秘の緩和に役立つことは知られているが、特定の食事法が便秘自体を予防できる可能性があることを示した研究はこれが初めてだ」と述べている。 興味深いことに、この研究では、食物繊維の摂取量による影響は認められなかったという。この点についてStaller氏は、「これまで、健康的な食事のメリットは食物繊維によるものだと考えるのが常であったが、われわれの分析では、便秘に対する健康的な食事のメリットは食物繊維の摂取量とは無関係であることが示された」と驚きを表す。ただし研究グループは、「この結果を検証するには、より大規模で若く健康な集団を対象にしたさらなる研究が必要だ」と付け加えている。(HealthDay News 2025年7月14日) https://www.healthday.com/health-news/digestive-system/diet-influences-constipation-risk-study-says Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock