体格評価に広く用いられるBMI(体格指数)だが、その限界も指摘されている。近年、体型の丸みや腹囲を反映する指標であるBody Roundness Index(BRI)や、体型形状を考慮したA Body Shape Index(ABSI)が提案されている。今回、日本人約78万人を対象とした大規模研究で、これらの指標が死亡リスク評価に新たな視点をもたらす可能性が示された。研究は、東京大学大学院医学系研究科ヘルスサービスリサーチ講座の木村悠哉氏らによるもので、詳細は1月31日付で「Journal of Obesity」に掲載された。 BMIは体脂肪の指標として広く用いられているが、脂肪と筋肉を区別できない点や脂肪分布を反映しない点が課題とされている。同じBMIでも体組成や死亡リスクが異なる可能性があり、近年は腹囲や内臓脂肪を反映した新たな体型指標であるBRIやABSIが提案されている。欧米や糖尿病患者を対象とした研究では、これらの指標がBMIより死亡リスク評価に優れる可能性が示唆されているが、アジア人の一般集団でのエビデンスは限られている。本研究では、日本人を含むアジア集団において、BMI・BRI・ABSIと全死亡との関連を比較し、BMIカテゴリ内でのより詳細なリスク層別化が可能かを検証することを目的とした。 本研究では、全国を代表する日本のレセプトデータベース(2014~2022年)を用いた後ろ向きコホート研究として、健康診断を受診した77万8,812人を解析対象とした。主要評価項目は全死亡とした。3つの身体計測指標は、制限付き三次スプライン曲線から算出したカットオフ値に基づき5群(Q1~Q5)に分類した。人口統計学的因子、生活習慣および併存疾患で調整した多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、これらのカテゴリ変数と全死亡との関連を評価した。 参加者の平均(標準偏差)年齢は62.8(9.6)歳で、女性は44万5,250人(57.2%)であった。死亡例ではABSIが生存者より高値であった一方、BMIおよびBRIには明確な差はみられなかった。また、BRIはBMIと強い相関を示したのに対し、ABSIはBMIとほとんど相関が認められなかった。 追跡期間中央値(四分位範囲)4.53(3.28~6.23)年の間に、1万4,690件の死亡が確認された。BMIおよびBRIでは、値が低すぎても高すぎても死亡リスクが上昇する「U字型」の関連がみられた。一方、ABSIでは低値域ではリスク上昇が比較的緩やかで、高値になるほど急激にリスクが増加する「J字型」の関係が示された。 基準カテゴリ(Q3)と比較した死亡リスクの有意差は、BMIではQ1・Q2・Q5の3カテゴリに認められたのに対し、BRIおよびABSIでは基準カテゴリ(Q3)以外のすべて(Q1・Q2・Q4・Q5)で認められた。 著者らは、「本研究はアジア人集団における死亡リスク評価において新たな身体計測指標を考慮することの有用性を示唆している。また、これらの知見は、体組成評価や肥満管理におけるより包括的なアプローチの発展に寄与する可能性がある」と述べている。 なお、本研究の限界として、民族差を検討できない点、死因別死亡が解析できない点、観察期間が比較的短い点、選択バイアスや社会経済的要因を調整できないことによる残余交絡の可能性がある点などを挙げている。(HealthDay News 2026年3月9日) Abstract/Full Texthttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1155/jobe/7923338 Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock