乳がんや子宮頸がんの早期発見には定期的な検診が重要だが、働く女性の受診率向上は課題となっている。今回、日本の就業女性を対象とした研究で、一般に健康管理と結びつきやすいとされる誠実性や不安と関連する神経症傾向が高い女性ほど、乳がんおよび子宮頸がん検診の受診率が低い傾向にあることが示された。研究は横浜市立大学医学部看護学科の佐藤みほ氏と、福島県立医科大学看護学部の佐藤菜保子氏によるもので、詳細は4月28日付の「JMIR Cancer」に掲載された。日本では乳がん・子宮頸がんの罹患率および死亡率が高い一方、検診受診率は他のOECD加盟国と比べて低い。女性の就業率上昇に伴い働く女性の受診率向上が課題となる中、時間的制約に加え、心理社会的要因も健康行動に影響する可能性が指摘されている。こうした背景から著者らは、就業女性における乳がん・子宮頸がん検診受診と性格特性やリスク認知との関連を検討した。著者らは、慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センターが実施する日本家計パネル調査(JHPS)および慶應義塾家計パネル調査(KHPS)のデータを用いた二次解析を行った。対象は70歳以下の就業女性1,142人で、2019~2022年の縦断データを解析した。乳がん検診(マンモグラフィ)および子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)の受診有無を評価し、性格特性は日本語版Ten-Item Personality Inventory(TIPI-J)で測定した。また、リスク回避傾向、主観的健康状態、精神的健康、婚姻状況、子どもの有無、介護役割の有無、学歴、雇用状態(正規・非正規)、居住地域などもあわせて解析した。少なくとも2回の回答が得られた参加者を対象に、一般化線形混合モデルを用いて乳がん・子宮頸がん検診受診と各因子との関連を検討した。解析の結果、乳がん検診および子宮頸がん検診のいずれにおいても、誠実性と神経症傾向が高い女性ほど受診率が低かった。乳がん検診では、誠実性(オッズ比〔OR〕 0.86、95%信頼区間〔CI〕 0.77~0.97、P=0.01)、神経症傾向(OR 0.87、95%CI 0.77~0.98、P=0.02)が関連し、子宮頸がん検診でも同様の傾向がみられた(誠実性:OR 0.88、95%CI 0.79~0.98、P=0.02、神経症傾向:OR 0.88、95%CI 0.78~0.99、P=0.04)。著者らは、一般に自己管理能力の高さと結びつく誠実性が高い女性ほど乳がん・子宮頸がん検診の受診率が低かった点について、仕事に加えて家庭でも多くの役割を担う日本人女性では、がんの予防行動よりも仕事や家族を優先する可能性があると考察した。また、神経症傾向が高い女性では、がんと診断される可能性に対する不安が強く、検診受診をためらう可能性が示唆された。本研究の限界として、自己記入式質問票による想起バイアスや社会的望ましさバイアスの可能性、欠測データ除外による選択バイアス、がん特異的ではなく一般的なリスク回避傾向を評価した点、医療への信頼や受診アクセス障壁に関する情報が含まれていない点などを挙げた。今後は、がん検診受診に影響する構造的要因および心理社会的要因について、さらなる検討が必要だとしている。(HealthDay News 2026年6月8日) Abstract/Full Texthttps://cancer.jmir.org/2026/1/e86885/ Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock