近視の強さは、視力を矯正した後の見え方にも関係するようだ。今回、通常の矯正視力が正常でも、近視が強いほど、濃淡の差が小さい視標を見分ける「低コントラスト視力(LCVA)」が低い傾向にあることが示された。研究は、藤田医科大学羽田クリニックアイセンター(眼科)の成松俊雄氏、小沢洋子氏らによるもので、詳細は9月21日付の「PLOS ONE」に掲載された。 近視の増加は世界的な問題となっている。近視が進行して病的近視になると、網膜などに障害が生じ、視力が大きく低下することがある。一方、病的近視ではない通常の近視では、眼鏡などで矯正すれば良好な視力が得られることが多い。しかし、こうした近視が視覚機能に及ぼす影響については、十分に明らかになっていない。そこで研究グループは、通常の視力検査では捉えにくい視覚機能の違いを評価できるLCVAに着目し、眼疾患のない人を対象に、近視の程度とLCVAとの関連を検討した。研究グループは、2025年2~12月に藤田医科大学東京 先端医療研究センター(東京都大田区)で眼科健診を受けた人のデータを後ろ向きに解析した。対象は、最高矯正視力が1.0以上で、緑内障や加齢黄斑変性、病的近視などの眼疾患や眼科手術の既往がない43人(平均年齢52.8歳、うち男性13人)の左眼43眼とした。LCVAは、最高矯正視力の測定時と同じ矯正状態で、通常の視力検査よりも濃淡の差が小さい、コントラスト6%のランドルト環を用いて測定した。また、屈折検査によって近視の程度を評価するとともに、眼軸長(眼球の前後方向の長さ)を測定し、これらの指標とLCVAとの関連を解析した。解析の結果、LCVAの平均値は0.70で、年齢が高いほどLCVAが低い傾向が認められた。また、年齢と性別を調整した解析では、裸眼視力が良いこと、近視の程度を示す等価球面度数と球面度数がよりプラス側にあること、眼軸長が短いことが、良好なLCVAと有意に関連していた。さらに、LCVAが良好な眼に多く見られる特徴を詳しく調べたところ、裸眼視力が良いこと、等価球面度数が−3.0ジオプトリー(D)を超えること、球面度数が−2.5Dを超えること、眼軸長が25.3mm未満であることが示された。次に、等価球面度数が−3.0Dを超える群と、−3.0D以下の群に分けて比較したところ、LCVAの平均値はそれぞれ0.79、0.62で、近視が強い群の方が有意に低かった(P<0.01)。また、等価球面度数とLCVAとの間にも有意な相関が認められ(P=0.0019)、近視が強いほどLCVAが低い傾向が示された。著者らは、病的近視ではなく、通常の矯正視力が良好な場合でも、近視が強いと視覚機能が劣る可能性があると指摘している。その原因として、眼鏡では十分に補正できない光学的なゆがみや、眼軸長の伸長に伴う網膜の視細胞密度の低下などが関与している可能性を挙げた。また、小児期の近視進行を抑えることは、将来の病的近視の予防だけでなく、良好な視覚機能の維持にも役立つ可能性があるとしている。ただし、今回の研究は対象者が少ない後ろ向き研究であり、さらなる検証が必要だという。(HealthDay News 2026年11月2日) Abstract/Full Texthttps://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0357713 Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock