医師の偏在対策、地域別の診療報酬導入を提言――財務省

財務省は、4月16日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会で、医師や診療所の偏在を是正するため、地域別の診療報酬を導入するように提言した。診療所が過剰な地域では診療報酬の単価を引き下げる一方で、診療所が不足している地域では単価を引き上げる、地域別単価の導入を求めるものだ。

 財務省は、「現状のままでは大都市部において医師や診療所数が過剰となり、地域は過少となる傾向が続く」と指摘。全国一律の「1点当たり単価10円」という現行の診療報酬の仕組みを見直し、診療所の過剰な地域では、単価を引き下げる一方、診療所が不足している地域では、単価を引き上げることを進言。地域によって、単価に差を設けることで、診療所の過剰な地域から不足している地域への医療資源のシフトを促すべきだとした。

 その上で当面の措置として、診療所が過剰な地域の単価引き下げを先行することを提案。それによって発生する公費の削減効果を活用し、医師が不足している地域での対策強化に充てる案を示した。

 また、日本と同様に公的医療保険制度を展開しているドイツやフランスでは、診療科別、地域別に定員を設ける仕組みがあることを紹介し、医療過剰地域での新規開業規制の導入を検討すべきと主張した。

 さらに、診療所と病院間の偏在にも触れ、日本全体の診療所数が増加する一方で、病院の勤務医が不足しているとの課題も提示。病院勤務医が開業医にシフトすることを促さない、診療報酬体系の適正化を訴えた。(HealthDay News 2024年5月8日)

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