スマホへのマイナ保険証機能の搭載を提案――デジタル庁

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(以下、重点計画)の改定に向け、デジタル庁は4月24日、「第9回デジタル社会構想会議」(以下、会議)を開き、構成員の意見を聞いた。医療に関しては、救急や災害の現場でマイナンバーカード、その機能を搭載したスマートフォン(以下、スマホ)を活用することの意義やメリットを高く評価する発言があった。次期重点計画では、さらに、それらを推進することになりそうだ。

 政府は近年、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)などと、ほぼ同時期の6月に、重点計画を改定、閣議決定している。現行の重点計画は2023年6月9日に閣議決定されたもので、デジタル社会で目指す6つの姿として、▽デジタル化による成長戦略、▽医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化、▽デジタル化による地域の活性化、▽誰一人取り残されないデジタル社会、▽デジタル人材の育成・確保、▽DFFT(信頼性のある自由なデータ流通)の推進を始めとする国際戦略――を挙げた上で、それらの分野での政策、重点的に取り組む項目などを示している。

 会議では、デジタル庁が、まず重点計画策定後の状況について説明した。医療については準公共分野に位置付けられ、それに関してデジタル庁では、政府の「医療DXの推進に関する工程表」を踏まえて、医療費助成・予防接種・母子保健等に係る情報連携システム先行実施事業を実施している。これは、医療機関でマイナンバーカードを医療費助成の受給者証、予防接種の接種券、母子保健(健診)の受診券などとして利用できるようにするための実証事業で、予防接種や母子保健(健診)では、母子保健アプリを活用することで、事前にスマホから予診票や問診票の入力ができるようにする。

 また、デジタル庁では、標準型電子カルテα版の開発も行っている。標準型電子カルテα版は、電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋管理サービスの機能を標準搭載し、全国医療情報プラットフォームにつながる標準型電子カルテとしていくことが検討されている。2024年度中に開発するとともに一部の医療機関で試行を始める。

重点課題対応のための施策例として

 デジタル庁が今回提示した「次期重点計画の改定に向けたポイント(案)」によると、重点課題に対応するための重点的な取組は、(1)デジタル共通基盤構築の強化・加速、(2)システム・制度・業務の三位一体での取組、(3)デジタルガバメントの強化、(4)データを活用した課題解決と競争力強化、(5)セキュリティ、(6)最先端技術における取組――の6つを柱としている。

 マイナンバーカード/マイナンバー制度に係る取組の強化・加速は(1)に関するもので、その施策例として、スマホへのマイナ保険証機能の搭載や、オンラインでさまざまな行政サービスが受けられるようにする市民カード化、スマホ用電子証明書搭載サービスの推進などが挙げられている。

 会議の構成員からは、医療に関して、救急や災害でのマイナンバーカードあるいはスマホの活用について期待する発言が多く出た。個人情報保護法の見直しも視野に入れ、「スマホの位置データを使うことで、多くの命が救える可能性があるので、議論に載せても良いのではないか」との提案もあった。

 それらの発言を受け、河野太郎デジタル大臣は「いざという時にはスマホを持って避難していけば良いというように、スマホにマイナンバーカードの機能が搭載されているという状況を早く作って行きたい」と述べた。(HealthDay News 2024年5月15日)

参考文献
https://www.digital.go.jp/councils/social-concept/b87cae3c-d348-4617-8b7c-d5fb7a7bb3c1

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カテゴリー:医療DX

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