厚生労働省は、7月19日に開催された第1回「医道審議会医師分科会医師専門研修部会」で、専門研修における専攻医シーリング(募集定員の上限)の効果について、地域偏在是正には一定の効果があったが、診療科偏在対策としての効果は限定的だったとの研究結果を報告した。この研究は、2023年度の厚生労働科学特別研究事業として日本専門医機構が実施したもので、研究方法としては、専攻医の研修履歴情報等のデータベース解析、専攻医と専門研修プログラム統括責任者を対象としたアンケート調査などが行われた。まず、データベース解析の報告によると、地域偏在への効果については、シーリングのある領域では、医師多数県における採用数が抑制され、医師少数県および医師中程度県における採用者数が増加していた。一方、診療科偏在への効果については、研修プログラム不合格者293人のうち、不合格・合格となった研修プログラムを比較した結果、都道府県・基本領域ともに変更しなかった人数が190人(64.8%)と最多で、都道府県のみの変更が97人(33.1%)、基本領域の変更は6人(2.0%)と低調だった。次に、専攻医への調査(2020年度~2023年度に専攻医登録・有効回答数1万5,857件・有効回答率46.3%)の報告によると、プログラムの募集定員枠がなく、各病院の試験や内定も不要で、自由にプログラムを選べた場合、他の都道府県・基本領域を選択したという専攻医は2,606人(16.4%)と一定程度見られた。そのうち、基本領域の変更希望を示した専攻医は1,118人(7.1%)だったのに対し、都道府県の変更希望を示した専攻医は2,137人(13.5%)と、データベース解析、アンケート調査ともに、専攻医は都道府県を変更してでも、基本領域を優先する意向が強いことがうかがえる結果となった。(HealthDay News 2024年7月31日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41573.htmlCopyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.カテゴリー:医療制度