厚生労働省(以下、厚労省)は、8月5日に開催された第90回「がん対策推進協議会」で、2023年度から2028年度までの6年を実行期間とする第4期がん対策推進基本計画の中間評価の進め方についての案を示し、了承された。中間評価を分かりやすいものとするため、重要な指標に絞った「コア指標」を設定する。具体的な「コア指標」の内容については、2025年春頃に予定している次回のがん対策推進協議会で厚労省が提案する予定だ。
第4期がん対策推進基本計画は、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す。」を全体目標に、「がん予防」、「がん医療」、「がんとの共生」――の3つを柱(以下、3本柱)として、総合的ながん対策を推進する。すでに第4期がん対策推進基本計画がスタートして約1年半が経過し、新たな取り組みが進められている。
小児がん・AYA世代のがんは、3本柱のうちの「がん医療」と「がんとの共生」の両方に位置付けられるなど、重要な課題である。「がん医療」の主な施策は、地域の実情に応じた小児・AYA世代のがん医療提供体制を整備するとともに、長期のフォローアップを受けられるようにすること。また、「がんとの共生」の施策としては、教育支援や就労支援を推進する。
それに関連する新たな施策として、2024年度診療報酬改定で小児緩和ケア診療加算(1日につき700点)が新設されている。
共生社会の理念を反映して社会連携に基づき対策や患者支援など
政府が実現を目指している共生社会(地域共生社会)の理念を反映しているのが、3本柱のうちの「がんとの共生」に位置付けられている「社会連携に基づく緩和ケア等のがん対策・患者支援」だ。主な施策は、(1)セカンドオピニオン・緩和ケア・在宅医療などについての情報提供、(2)介護事業所や薬局など地域の関係機関との連携、(3)社会的支援や困難事例への対応――などである。
それらに関する指標の1つが、専門医療機関連携薬局の認定数だ。専門医療機関連携薬局は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)に基づき2021年8月に制度化されたもので、がん診療連携拠点病院など専門医療機関と連携し、がんの治療において専門的な薬学管理を実施する。厚労省の調べでは、2024年6月末時点で専門医療機関連携薬局の認定数は200薬局で、同年3月末時点と比べると9薬局増加している。
あわせて制度化された地域連携薬局は在宅でのがん患者などにも対応するため、麻薬の調剤応需、無菌製剤処理ができる体制を有することが要件となっている。2024年6月末時点で地域連携薬局の認定数は4,327薬局で、増加が続いている。
また、2024年度は診療報酬と介護報酬の同時改定であったため、介護保険制度でもがん患者への対応が進んだ。例えば、訪問看護において緩和ケアなどの研修を修了した看護師が計画的な管理を行った場合の評価として、2024年度介護報酬改定において専門管理加算(250単位/月)が新設された。なお、診療報酬においては、同様の加算が2022年度改定で新設されている。(HealthDay News 2024年8月21日)
参考文献
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42068.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183313.html
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