厚生労働省(以下、厚労省)は8月30日に開催された第181回「社会保障審議会医療保険部会」で、マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関・薬局に対して個別に聞き取りを行う方針を示した。また、7月の利用率は前月比1.23ポイント増の11.13%と過去最大だったことも明らかにした。
厚労省の報告によると、7月はオンライン資格確認の利用件数が2億498万件、マイナ保険証の利用件数が2281万件で、利用率は過去最高の11.13%となった。ただし、都道府県別のマイナ保険証の利用率を見ると、1位が富山県18%、最下位の沖縄県4.75%と、利用促進のために医療機関・薬局に対して一時金や補助金などのインセンティブを設定してきた上での数字としては、伸び悩んでいるのが実情だ。
こうした現状を踏まえ、厚労省はマイナ保険証のさらなる利用促進の新たな取り組み事例として、「マイナ保険証の利用実績が低い医療機関・薬局に対する個別アプローチ」を提案。マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関・薬局に対し、メールなどで事前に周知連絡した上で、「困っていることがないか」「どうして実績が伸びないのか」などを、地方厚生局が直接聞き取りして支援する考えを示した。
また、マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関・薬局の中には、患者がマイナ保険証を使う機会を奪っているものも考えられ、その場合には「療養担当規則違反となるおそれがある」と強調。これに対し、委員からは「医療機関からすると、やや威圧するように見え、かえって反発を招くかと思う。地域によって事情は異なってくることもあるので地域差を勘案しながら、慎重な対応をしてもらいたい」と、慎重を期すべきとの意見が出た。
なお、いずれかの月のマイナ保険証の月間利用件数の総数が500件以上の医療機関・薬局への顔認証付きカードリーダー増設支援とマイナンバーカードと診察券等の一体化に関する各補助金については、実績対象期間を8月期限としてきたが、11月まで延長することが決定された。(HealthDay News 2024年9月11日)
参考文献
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43143.html
Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.
カテゴリー:医療DX