小児用医薬品の開発計画の策定を努力義務化、健康サポート薬局は認定制へ

Published on

改正された薬機法の施行後5年をめどとした見直しに向けて議論している厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会(以下、制度部会)は、10月3日、医薬品の安全かつ迅速な承認制度、薬局・医薬品販売制度などを議題として、2024年度第7回部会を開き、医療用医薬品の承認申請時に小児用医薬品の開発計画の策定を努力義務化すること、健康サポート薬局について認定制を導入することなどについて、大筋で了承した。

まず、医薬品の安全かつ迅速な承認制度の確立に関する議論では、小児用医薬品のドラッグロスの問題が取り上げられた。厚生労働省(以下、厚労省)は、ドラッグロス解消に向けての制度的対応の方向性として、成人の医療用医薬品の承認申請時において小児用医薬品の開発計画の策定を法令により努力義務化することを提案した。

厚労省は、小児用医薬品の開発計画が策定された医薬品の再審査期間について、現行の延長上限10年を12年に引き上げてはどうか、と提案した。これは、製薬企業等としては、独占的に販売できる期間が延びるというメリットがあり、その間は後発医薬品の上市も抑えられる。

また厚労省は、小児用医薬品等の開発の支援を行う特定用途医薬品指定制度の見直しも提案した。同制度での小児用医薬品の指定要件(申請区分)は、現行では用法・用量の変更(小児用法・用量の追加)、剤形の追加に限られているが、新有効成分等も対象とする。併せて、再審査期間についても申請区分に応じて設定されるように見直す。

健康サポート薬局は法令に規定して名称独占に

少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直しにおいては、健康サポート薬局が取り上げられた。健康サポート薬局は、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的機能を持ちながら、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局として2016年10月から届出が始まったが、根拠となっているのは厚生労働省令であり、薬機法などに相当する「法律」ではない。また、そのインセンティブは健康サポート薬局である旨を表示できる程度であり、健康サポート薬局数は2024年3月末時点で3,195薬局にとどまっていて、地域住民の間での認知度は低い。

厚労省は、健康サポート薬局の検討の方向性について、その機能や質を継続的に確保するため、認定制を導入することを提案した。併せて、法令に規定して名称独占とすることで、地域住民が主体的に選択できるようになることも期待される、としている。

なお、制度部会では、12月をめどに取りまとめを行うことにしている。(HealthDay News 2024年10月16日)

参考文献
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44072.html

Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.

カテゴリー:医療制度

logo
HealthDay Japan
healthdayjapan.com