日本医療機能評価機構は4月15日、医療事故情報収集等事業「医療安全情報No.221カリウム製剤の投与方法間違い(第2報)」を公表。カリウム製剤の投与方法の間違いによる医療事故を取り上げた。同様の医療事故は、2015年1月に医療安全情報で取り上げられたのに続き2度目となる。2025年2月28日までに1件の医療事故の再発が報告されたため、今回改めて注意喚起が行われた。今回の事例では、循環器内科の医師が、ICUで治療中の患者の指示として「カリウム(K)補正:3.0mEq/L以下で塩化カリウム(KCL)20mEq/20mLを10mL/hで投与」と入力した。K値が1.8mEq/Lであったことから、リーダー看護師と担当看護師はKCLを20mL投与することを確認。リーダー看護師は、指示通りに原液で投与するため、定数配置薬のプレフィルドシリンジのKCL20mLを注射器に移し替えた。その後、担当看護師に10mL/hで投与するよう伝えて注射器を渡した。担当看護師は、指示に記載された投与方法や流量を確認せずに、中心静脈ラインから高濃度のカリウム製剤を急速静注した。その結果、患者は投与後に心停止となったことが報告されている。今回の事例を受け、日本医療機能評価機構は、カリウム製剤の急速静注は心停止を起こす危険性があるため、同製剤の急速静注を行わないように強く警告。さらに、事例が発生した後の該当医療機関での取り組みとして、(1)プレフィルドシリンジを使用する際は薬液を注射器に移し替えない、(2)プレフィルドシリンジの剤形の目的を周知する、(3)カリウム製剤の希釈方法を医療機関内で統一し必ず希釈して投与する――といった対策を紹介し、自施設に適した取り組みを検討するように呼びかけている。(HealthDay News 2025年5月7日).参考文献https://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_221.pdfCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.カテゴリー:医療制度