厚生労働省(以下、厚労省)は5月1日に開催された第194回「社会保障審議会医療保険部会」で、医療保険部会の下に、「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会(仮称)」(以下、専門委員会)を設置することを提案し、了承された。高額療養費制度の自己負担額の上限については、政府によって今秋に改めて方針を決定するとされているため、専門委員会で集中的に議論を行い、医療保険部会に報告する方針だ。専門委員の構成は▽委員長・学識経験者、▽保険者の意見を反映する委員、▽患者等の当事者の意見を反映する委員、▽医療・診察機関の意見を反映する委員、▽経済界・労働者の意見を反映する委員――を想定している。高額療養費制度については、自己負担限度額を2025年8月から2027年8月までに3段階で引き上げる方針だったが、がんや難病の患者団体をはじめ学会や野党などの反対が相次ぎ、政府は引き上げをいったん見送ることを決定。また、がん患者ら当事者へのヒアリングが行われずに拙速に引き上げを決定した厚労省への批判もあった。こうした経緯から、専門委員会では、患者団体・保険者団体などからのヒアリングを丁寧に実施する予定だ。このほか、厚労省から2022年度の医療費の財源についての報告もあった。医療費の財源構造、実効給付率の推移と要因分析、生涯医療費の分析内容などを見える化し、国民に医療保険財源について理解してもらう狙いで、年1回、医療保険部会において報告するとともに厚労省のホームページ上で公表するとした取り組みを受けたものだ。2022年度の医療費43.7兆円の詳細は、医療給付費が37.3兆円(公費14.1兆円、保険料23.2兆円)、自己負担額が6.5兆円で、医療保険で賄われる割合である「実効給付率」は85.2%だった。このうち、後期高齢者以外の医療給付費は20.8兆円(実効給付率80.7%)、後期高齢者の医療給付費は16.5兆円(同91.6%)となり、実効給付率は高齢化の進展などによって上昇傾向にあることが明らかとなった。(HealthDay News 2025年5月21日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57556.htmlCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.カテゴリー:医療制度