政府の規制改革推進会議は5月28日にまとめた答申で、オンライン対応を想定した「地域の病院機能の維持に資する医師の宿直体制の見直し」を打ち出した。答申の内容は、6月中に政府が閣議決定する予定の規制改革実施計画で取り上げられ、厚生労働省(以下、厚労省)の社会保障審議会医療部会で審議の上、2027年度までには結論を出し、何らかの措置が講じられる見込みだ。病院に医師を宿直させることについては医療法第16条の規定によって義務化されているが、例外規定もある。例えば、▽医師が当該病院に隣接した場所に待機する場合、▽入院患者の急変において速やかに診療を行う体制が確保されていると都道府県知事が認めた場合――などだ。今回、規制改革推進会議が答申するにあたって、熊本県で地域医療に取り組む民間病院(地域包括ケア病棟・医療療養病棟・介護医療院14床を含む99床)、日本慢性期医療協会などからヒアリングを行った。同病院は、医師の確保が困難な地域であることを前提に、近隣医療機関の協力やICT機器の活用などによって宿直医が複数の医療機関を兼務できるよう要望した。「電話等」での指示にオンライン対応も含まれることを2025年中に明確化、周知する規制改革推進会議では、そのヒアリングを反映する形で「地域の病院機能の維持に資する医師の宿直体制の見直し」として取りまとめ、答申した。内容は、地域の実情に応じて必要な病院機能を維持するため、(1)宿直の例外規定にオンラインによる対応が含まれる旨を明確化、(2)複数病院の宿直を遠隔かつ兼務可能とすることを検討――を柱とするものである。(1)に関する宿直の例外規定として、医師が速やかに当該病院に駆けつけられる場所にいることを前提とした上で、特別の事情があって速やかに駆けつけられない場合について、現行の通知では「速やかに電話等で看護師等に診療に関する適切な指示を出せること」となっている。答申では、そこにオンラインを含む情報通信機器を用いた対応も含まれることを明確化し、周知することを求めた。これについては、2025年に措置を講じる。(2)では、オンライン対応、カルテ情報の共有などICTを活用することで、医師が複数病院の宿直対応を遠隔で兼務することについて都道府県知事の判断で可能とする要件などを厚労省が検討。遅くとも2027年度中に結論を得て、速やかに所要の措置を講じるとした。なお、これらの対応は地域での宿直の実情を踏まえて、地域の医療提供体制や病院の機能を維持する観点からのものだが、答申では、合理性に乏しいローカルルールの発生防止に留意するよう、くぎを刺している。(HealthDay News 2025年6月11日).参考文献https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_report.html https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2501_02medical/250331/medical03_agenda.htmlCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.カテゴリー:働き方改革
政府の規制改革推進会議は5月28日にまとめた答申で、オンライン対応を想定した「地域の病院機能の維持に資する医師の宿直体制の見直し」を打ち出した。答申の内容は、6月中に政府が閣議決定する予定の規制改革実施計画で取り上げられ、厚生労働省(以下、厚労省)の社会保障審議会医療部会で審議の上、2027年度までには結論を出し、何らかの措置が講じられる見込みだ。病院に医師を宿直させることについては医療法第16条の規定によって義務化されているが、例外規定もある。例えば、▽医師が当該病院に隣接した場所に待機する場合、▽入院患者の急変において速やかに診療を行う体制が確保されていると都道府県知事が認めた場合――などだ。今回、規制改革推進会議が答申するにあたって、熊本県で地域医療に取り組む民間病院(地域包括ケア病棟・医療療養病棟・介護医療院14床を含む99床)、日本慢性期医療協会などからヒアリングを行った。同病院は、医師の確保が困難な地域であることを前提に、近隣医療機関の協力やICT機器の活用などによって宿直医が複数の医療機関を兼務できるよう要望した。「電話等」での指示にオンライン対応も含まれることを2025年中に明確化、周知する規制改革推進会議では、そのヒアリングを反映する形で「地域の病院機能の維持に資する医師の宿直体制の見直し」として取りまとめ、答申した。内容は、地域の実情に応じて必要な病院機能を維持するため、(1)宿直の例外規定にオンラインによる対応が含まれる旨を明確化、(2)複数病院の宿直を遠隔かつ兼務可能とすることを検討――を柱とするものである。(1)に関する宿直の例外規定として、医師が速やかに当該病院に駆けつけられる場所にいることを前提とした上で、特別の事情があって速やかに駆けつけられない場合について、現行の通知では「速やかに電話等で看護師等に診療に関する適切な指示を出せること」となっている。答申では、そこにオンラインを含む情報通信機器を用いた対応も含まれることを明確化し、周知することを求めた。これについては、2025年に措置を講じる。(2)では、オンライン対応、カルテ情報の共有などICTを活用することで、医師が複数病院の宿直対応を遠隔で兼務することについて都道府県知事の判断で可能とする要件などを厚労省が検討。遅くとも2027年度中に結論を得て、速やかに所要の措置を講じるとした。なお、これらの対応は地域での宿直の実情を踏まえて、地域の医療提供体制や病院の機能を維持する観点からのものだが、答申では、合理性に乏しいローカルルールの発生防止に留意するよう、くぎを刺している。(HealthDay News 2025年6月11日).参考文献https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_report.html https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2501_02medical/250331/medical03_agenda.htmlCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.カテゴリー:働き方改革