厚生労働省(以下、厚労省)は8月21日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」で、ベースアップ評価料届出医療機関の対象職員の賃上げ率が、2024年度と2025年度の2年間で3.40%(加重平均)にとどまり、ベースアップ評価料の目標値である4.5%の引き上げを下回った旨を報告した。 ベースアップ評価料は、2024度診療報酬改定で看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種(40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者を除く)の賃上げを実施していくための評価として創設。改定時の基本的な方針では、「令和6年(2024年)度に+2.5%、令和7年(2025年)度に+2.0%のベースアップを実施」するとしていた。 今回、厚労省が示した調査結果によると、対象職員の賃金増加率(計画値ベース)は2023年度比で、2024年度が全医療機関で2.69%、2025年度が同3.40%だった。なお、産業全体(医療以外)の2025年度の賃上げ率は5.25%で、医療関係職種の平均が産業全体の平均に届いていない現状も報告された。 また、診療報酬の算定状況をみると、「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」は病院の約9割、診療所の約4割が届け出ていた。診療科別にみると、泌尿器科、産婦人科、精神科、外科などの算定回数が低かった。一方、届け出ていないのは、公立病院や医療法人(社会医療法人除く)、許可病床数100床未満の病院が多く、理由としては「届出内容が煩雑なため」との意見が最多だった。 厚労省の報告に対し、委員からは「物価高騰で医療機関は深刻な経営難に陥っており、処遇改善をしたくても適切な賃上げができない状況なので財政支援が必要」「2026年度診療報酬改定では、2024年度・2025年度に十分な賃上げが行えていない点も加味した評価料の引き上げなどを検討すべき」などの要望が出された。(HealthDay News 2025年9月3日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00279.html Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved. カテゴリー:診療報酬、多職種連携