厚生労働省(以下、厚労省)は8月27日に開催された中央社会保険医療協議会(以下、中医協)総会に、スマートフォン搭載のマイナ保険証(以下、スマホ保険証)によるオンライン資格確認を9月19日以降、準備の整った医療機関・薬局から順次開始予定との報告をした。医療機関に対応を義務づけるものではないが、希望する場合は読み取りに使う汎用カードリーダーなどの購入費用を一部補助する。 2025年7月時点でのマイナ保険証の利用率は31.43%で過去最高を記録しているものの、まだ3人に1人が利用している程度である。このような状況において期待されているのが、日常的に広く利用されているスマートフォン(以下、スマホ)にマイナ保険証を追加・搭載することだ。 厚労省は2025年7月・8月に、15の医療機関などで「スマホでマイナ保険証を使う実証事業」を行い、大きな支障はないことを確認した。患者からは「マイナンバーカード(マイナ保険証)の持ち歩きによる紛失の心配がなくなった」との評価の声がある一方、医療機関などの職員からは「来院前にマイナンバーカードのスマホへの追加を終えてから利用してほしい」との意見があった。今後、厚労省は、スマホ利用に当たっての必要な事前準備や留意点について周知を図っていく考えだ。 医療機関・薬局でスマホ保険証を使えるようにするには、▽顔認証付きカードリーダーに対応した汎用カードリーダーの購入、▽汎用カードリーダーと資格確認端末(PC)との接続、▽スマホ対応施設であることを患者が確認できるステッカーの掲示など窓口での受付環境の整備――が必要となる。このうち、汎用カードリーダーについては、USBケーブルやUSBハブなどの周辺機器を含む購入費用が補助される。 購入費用に関して申請手続きはなく、専用の購入サイト(https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=210326219051)から、各医療機関・薬局向けに発行されたクーポンを利用し、診療所と薬局は1台、病院は3台までが補助(1/2補助、上限7,000円)され、割引後の価格で購入可能。なお、キヤノン社製品の顔認証付きカードリーダーを使っている場合は、汎用カードリーダーの設置は不要だ。 当面はごく一部の医療機関しか対応できないことの周知を スマホ保険証はマイナ保険証と同じものとして扱われるので、それを使うことに告示などの改正の必要はない。しかし、スマホ保険証を汎用カードリーダーにかざしても資格確認できなかった場合、どのような方法で資格確認をするかについては告示で定める必要がある。 スマホ保険証を使った際に何らかの原因で資格確認ができなかった場合の新たな確認方法について、福岡資麿厚生労働大臣から諮問があり、中医協は、患者がその場においてスマホでマイナポータルにログインし、表示された自身の資格情報の画面を提示する、という趣旨の答申を行った。これに基づき、2024年の厚生労働省告示に対してそれを告示新第3号として追加するなどの改正を行う。 答申に当たって、診療側委員からは「(スマホ保険証に)対応できる医療機関が増えるには一定の期間を要する。当面の間は、全国でもごく一部の医療機関である。このことをしっかりと国民に周知すべきである」との発言があった。また、支払側委員からも「丁寧な周知をしなければならない」との指摘が出た。(HealthDay News 2025年9月10日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62391.html Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved. カテゴリー:医療DX