厚生労働省(以下、厚労省)は9月18日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」で、医師事務業務の省力化に向けたICTの活用について、約80%以上の病院でいずれの取り組みもなされていないとの調査結果を報告した。 厚労省の調査結果をみると、ICTを活用した取り組みとして上位だったのは、▽説明動画の活用、▽WEB問診・AI問診、▽外来診療WEB予約システム――で、いずれの取り組みでも、作業効率の上昇や労働時間の短縮効果が得られていることが分かった。 その中でも特に労働時間の短縮の効果が得られるとの回答割合が多かった取り組みとして、▽臨床データ集計等でのRPA(Robotic Process Automation;パソコンを使用した定型的な業務を自動化するシステム)活用、▽退院サマリー等の作成補助を行う生成AI文書作成補助システム、▽説明動画の活用――が挙げられた。 また厚労省は、生成AIによる文書自動作成の活用事例として、国立大学病院(1000床規模)で退院時サマリ作成が1時間から20分(削減率66%;1件当たり)に短縮された例や、民間病院(750床規模)で、退院時サマリ作成が医師事務作業補助者による下書きが30分から0分(同100%)、医師による作成が10分から5分(同50%)に短縮された例などを紹介。2026年度診療報酬改定でICT活用の推進に向けた取り組みをどのように評価、分析するかを課題とした。 これを受け、委員からは「システム導入や運用、更新などには多額の費用負担が発生する。今後、(労働人口の減少により、医師事務作業補助者の)人材確保が難しくなっていくことも考慮し、ICT活用に何らかの支援を」「医師事務作業補助者はなくてはならない人材。ICTの活用で医師事務作業補助者の人員削減や診療報酬点数の引き下げという方向に向かわないよう注意が必要」との意見が出された。(HealthDay News 2025年10月1日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00282.html Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved. カテゴリー:診療報酬、医療DX