厚生労働省(以下、厚労省)は10月8日に開催された中央社会保険医療協議会(以下、中医協)総会および「診療報酬調査専門組織・医療機関等における消費税負担に関する分科会」(以下、分科会)で、控除対象外消費税の診療報酬による補てん状況の調査について、2020~2022年度の補てん分の集計に複数の誤りがあったことを報告し、陳謝した。 厚労省によると、2026年度診療報酬改定に向けた消費税補てん率把握のための作業過程で、過去の公表分の計算ミスが明らかとなった。具体的なミスの内容としては、2021年度と2022年度の支出において、消費税負担額の計算過程での水道光熱費の計上漏れや、収入の把握に関し、2020年度と2021年度の生活保護法等の公費負担医療分に係る計上漏れ、2021年度の調剤報酬上乗せ分の計算過程で2022年度のNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)データの誤使用などがあった。 厚労省は今後の対応策として「複層的なチェック体制を構築するとともに、今後、これまでの補てん状況把握の方法と同水準の精緻さを維持しつつ、より簡素に集計できヒューマンエラーが出にくい手法を検討する。深くお詫びする」とし、陳謝した。 修正された補てん率の内訳をみると、医科全体では2020年度は107.7%(修正前103.4%)、2021年度は104.2%(同105.6%)、2022年度は99.3%(同107.1%)と、2022年度は補てん不足だったことが明らかとなった。2022年度の詳細は、▽病院103.7%(同112.8%)、▽一般診療所89.5%(同94.6%)、▽歯科診療所99.5%(同105.4%)、▽保険薬局91.5%(同91.7%)――となり、全体補てん率は98.9%(同106.1%)だった。 2023年度および2024年度の補てん状況の調査については、現在実施中の第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)とNDBデータの情報を用いて補てん状況の把握を進め、本年12月を目処に報告する想定だ。 報告を受け、中医協委員からは「非常に遺憾」との批判が殺到し、分科会委員からも「2022年度は全体で補てん不足だったことが判明したが、これは消費税対応の補てんの仕組みそのものを大きく失墜させるものだ」「正しいデータが出ていれば、(2024年度診療報酬改定で)もっと上乗せすべきという議論になっていたはず」「国民の信頼を得るためにも今回のミスはあってはならないことだ」など、厳しい意見が相次いだ。(HealthDay News 2025年10月22日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64319.htmlhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64320.html Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved. カテゴリー:診療報酬