財務省は11月5日、財政制度等審議会財政制度分科会で、2026年度診療報酬改定について取り上げ、現役世代の保険料負担軽減の観点から「病院に比べ、診療所が高い利益率を維持している現状を踏まえ、病院への重点的な支援のため、診療所の報酬の適正化が不可欠」と主張した。 論拠として、無床診療所の平均利益率は、2023年度に9.3%、2024年度に6.4%と依然として高水準を維持していると指摘。さらに、財務省の機動的調査を公表し、無床診療所の利益剰余金は、1施設当たりで、2023年度に1.31億円、2024年度に1.35億円と高水準を保っており、多くの診療所に経営余力が引き続き存在すると考えられると訴え、報酬の引き下げを検討すべきとした。 診療所の報酬適正化に関しては、複雑化した「かかりつけ医機能の評価」を整理した上で、抜本的に見直すとの観点から、かかりつけ医の機能を評価する診療報酬について(1)機能強化加算の廃止、(2)外来管理加算は即刻廃止または地域包括診療料などに包括化、(3)地域包括診療料・加算と認知症地域包括診療料・加算は統合した上で、かかりつけ医機能をよりきめ細やかに評価できる報酬体系を再構築する、(4)生活習慣病管理料の算定要件を一般的な診療ガイドラインに沿う形で厳格化、(5)特定疾患療養管理料は特定疾患処方管理加算などとの併算定は一律で不可とする――ことなどを求めた。 その上で、かかりつけ医機能を十全に果たす医療機関を重点的に評価する診療報酬体系を構築した上で、かかりつけ医機能報告制度上の一次診療が可能な疾患を定めた1号機能を有さない医療機関は、初診・再診料を減算すべきと主張。また、かかりつけ医療機関以外を受診した場合には、患者に対し追加負担を徴収する案も提示した。 さらに、国民負担の観点からは年齢ではなく能力に応じた負担の必要性を指摘。75歳以上の1人当たり医療費は現役世代の約4.4倍に上り、そのうち8割強が公費および現役世代の支援金によって賄われている点に言及し、年齢による自己負担割合の不公平を是正するため、70歳以上の患者自己負担割合を現役世代と同様に3割とすべきと提言した。(HealthDay News 2025年11月19日).参考文献https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20251105zaiseia.html Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved. カテゴリー:医療制度