厚生労働省(以下、厚労省)は11月21日に開催された第6回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」で、70歳以上の高齢者の外来受診の負担を軽減する「外来特例」について取り上げた。これに対し、委員からは、外来特例については廃止も含めて検討すべきとの意見が相次いだ。 外来特例は、現役世帯並みの所得がない70歳以上の高齢者の外来受診に限り、高額療養費の上限額を引き下げるもので、2002年10月の医療保険制度改正に伴い導入された。現在、外来受診費の自己負担の上限額については、70歳以上で年収約383万円(単身の場合)を下回る場合は月1万8000円、住民税非課税世帯は月8000円に設定されている。なお、低所得者については、2002年の制度導入時に一般区分のおおむね3分の2の水準である月8000円に設定されてから、限度額の見直しは行われていない。 また、厚労省は外来特例の利用時の医療費負担について、患者の年齢や年収、傷病・治療内容と費用、総医療費、高額療養費制度の利用額、自己負担額などの詳細をまとめたモデルケースを複数提示した。例えば、70歳代男性会社員の間質性肺炎患者(標準報酬月額18万円、年収約230万円)の場合、2割負担で年間約86万4000円負担のところ、外来特例が適用され、自己負担額は年間14万4000円であった。 委員からは「外来特例は見直しが不可欠。受診方法や時期によって過度な支援になっているとの指摘があり、問題があることは否定できない」「外来特例が創設された2002年以降、健康寿命が延伸していることなどを踏まえると、現役世代との公平性から本来廃止を含めた検討を行うべき」などの意見が相次いだ。 一方、「モデルケースの場合はWHOの定める破滅的医療費負担(医療費支出が支払い能力の40%を超える場合)に該当する。外来特例を変更するならば、他の医療費制度との変更も組み合わせないと過重な負担増となる可能性がある」との意見もあったが、外来特例を見直すことへの異論はなかった。(HealthDay News 2025年12月3日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66209.htmlCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved. カテゴリー:医療制度