地域医療構想や医師の偏在対策、医療DXの推進などを盛り込んだ「医療法等の一部を改正する法律案」(改正医療法)が、12月5日の参議院本会議で可決・成立した。改正法は一部を除いて2027年4月1日から施行される。 改正の主な概要は、(1)地域医療構想の見直し等、(2)医師偏在是正に向けた総合的な対策、(3)医療DXの推進――となっている。このほか、病床削減への公的支援として、病床数の削減を支援する事業などを都道府県が実施する旨を「第七条の二 都道府県は、その地域の実情を踏まえ、医療機関がその経営の安定を図るために緊急に病床数を削減することを支援する事業を行うことができる」と明記した。 病床数の削減については、厚生労働省が費用を補助する。2025年度補正予算で、約3490億円の「病床数適正化緊急支援基金」を創設し、病院(一般・療養・精神)・有床診療所で稼働病床1床当たり410万4000円、非稼働病床では205万2000円を交付する。 また、(1)の地域医療構想については、2040年頃を見据えた医療提供体制を確保するため、地域医療構想は入院病床のみならず、外来・在宅医療、介護との連携を含む構想として見直す。その他、オンライン診療の医療法への定義、美容医療を行う医療機関の定期報告義務なども規定された。 (2)の医師偏在是正については、都道府県が「重点医師偏在対策支援区域」を設定し、当該地域で勤務する医師に対して保険料財源による手当を支給する事業を設定する。その他、外来医師過多区域の無床診療所への対応強化(新規開設の事前届出制、要請勧告公表、保険医療機関の指定期間の短縮など)が盛り込まれた。 (3)の医療DXに関しては、必要な電子診療録等情報(電子カルテ情報)の医療機関での共有などに向け、2030年12月31日までに電子カルテの普及率を100%にする目標を明記。その他、医療DXを推進するため「医療情報化推進方針」を策定することや、公費負担医療などに関する規定の整備も決定した。(HealthDay News 2025年12月17日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/content/001601149.pdf https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2025/fy2025.html https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g21709021.htm Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved. カテゴリー:医療制度、医療DX