厚生労働省は12月9日、2026年度診療報酬改定の基本方針を取りまとめ、公表した。物価や賃金の上昇、医療機関などの人手不足への対応などを重点課題に位置付けた。 2026年度診療報酬改定の基本的視点は、(1)物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応、(2)2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進、(3)安心・安全で質の高い医療の推進、(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上――の4項目に決定した。 重点課題に位置付けた(1)では、医師の働き方改革を進め、医療従事者が健康に働き続けることのできる環境の整備に向け、「ICT、AI、IoT等の利活用の推進や、診療報酬上求める基準の柔軟化等により、医療従事者の業務効率化・負担軽減等を行っていく必要がある」と明記した。 また、それぞれの基本的視点では、具体的方向性の例も挙げられている。(1)は、▽医療機関などが直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費および委託費などの物件費の高騰を踏まえた対応や、賃上げや業務効率化・負担軽減などの業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取り組み(例:医療従事者の処遇改善、医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策など)などを盛り込んだ。 (2)の具体的方向性としては、▽かかりつけ医機能・かかりつけ歯科医機能・かかりつけ薬剤師機能の評価、▽医師の地域偏在対策の推進――などとした。(3)については、▽医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価、▽イノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保など――が挙げられた。(4)については、▽電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取り組みによる医薬品の適正使用などの推進――などを例として示した。 今後は、改定率の決定後、年明けの中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、基本方針に則った個別改定項目に関する本格的な議論を深め、2026年2月ごろに厚生労働大臣に答申する見通しだ。(HealthDay News 2025年12月19日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66904.html Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved. カテゴリー:診療報酬