厚生労働省(以下、厚労省)は3月12日、第28回「健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ」(以下、ワーキンググループ)を開き、診療所や中小病院向け電子カルテの標準仕様案と、その基準を満たしているかを確認する認証制度について方向性を示した。また、認証制度の初回審査は2026年度冬ごろを想定していることを明らかにした。2025年12月に成立した「医療法等の一部を改正する法律」により「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」が改正され、2030年末までに電子カルテの普及率を約100%にするという政府目標が法定化された。厚労省の医療施設調査によると、2023年時点での電子カルテシステムの普及率は、400床以上の一般病院では93.7%と高いが、中小病院(200床未満)は59.0%、一般診療所は55.0%にとどまることが明らかとなった。従来の電子カルテは医療機関ごとにカスタマイズされた「オンプレミス型」が多く、高額な導入・維持コストや運用負担が課題となっている。そのため政府は、オンプレミス型電子カルテから、安価に利用できる「クラウドネイティブ型」電子カルテへの移行を図る方針だ。こうした状況を踏まえ、2025年度中に、民間ベンダー(以下、ベンダー)が開発・提供する、診療所や200床未満の中小病院向けの電子カルテの標準仕様を策定する。厚労省が示した標準仕様案では、ベンダーが従うべき「遵守項目」を設定。機能要件としては「政府の医療DXサービス群の対応」として、(1)オンライン資格確認等システム、(2)電子処方箋管理サービス、(3)電子カルテ情報共有サービス――の政府の医療DXサービスに関する技術解説書等に規定された機能を有することを求める。また、アーキテクチャ(システムの構造設計)においては、(1)電子カルテを構成する主なアプリケーションが、ガバメントクラウド対象クラウドサービスを利用したパブリッククラウド環境で稼働すること、(2)医療機関に提供されるクラウド上で稼働する全てのアプリケーションが、SaaS型であること、(3)電子カルテの構成は、マルチテナント方式であること、(4)電子カルテを構成する全てのアプリケーションについて、個々のカスタマイズに対応不可能な仕様とすること、(5)電子カルテを構成するシステムが、GCASガイド「ガバメントクラウドにおけるモダン化の定義」に合致するものであること――が盛り込まれた。このほか、システムやサービスが正常に稼働している時間の割合(稼働率)が99.9%以上の安定性を維持することや、ベンダーが自社のウェブサイト上で電子カルテの価格を公開していることなども組み込まれた。標準仕様に準拠していて稼働実績もある電子カルテを申請・認証へさらに厚労省はワーキンググループで、標準仕様に準拠した診療所や中小病院向け電子カルテについて認証制度を設けるとして概要を説明した。まず、標準仕様バージョン1.0を2026年に策定・公表。ベンダーが、それに準拠したクラウド型電子カルテを開発し、一定数以上の医療機関で稼働実績があって安定性が高いものについて厚労省に申請する。厚労省は、申請を通過後、ホームページに認証情報を掲載するとともにベンダーに通知。初回の審査は2026年度冬ごろを想定している。なお、認証制度の具体的な内容(認証制度の仕組み・運用、認証要件、認証された製品の普及方針など)については、今後、2026年夏を目途に明らかにする方針だ。(HealthDay News 2026年3月25日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70613.htmlCopyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.カテゴリー:医療DX