財務省は4月28日の財政制度等審議会・財政制度分科会で、高齢者医療の自己負担の在り方について、可及的速やかに現役世代と同様に原則3割負担にすべきであり、その実現に向けた制度改革の工程表を示すべきであると主張した。現行の高齢者医療制度では、70〜74歳および75歳以上で一定以上の所得があれば自己負担は2割となる。「現役並み所得」があれば3割、それ以外は1割となっている。財務省は、2008年に後期高齢者医療制度および前期高齢者財政調整が導入されて以降、15年以上が経過したことを踏まえ、日本社会における高齢者の位置付けや医療ニーズが大きく変化していると指摘。高齢者の就業率上昇や受診率の低下など、社会経済環境と医療需要の変化を背景に、従来の制度設計が実態と乖離しつつあるとの認識を示した。その上で、高齢者医療の自己負担は依然として1割または2割負担が大多数(9割超)を占めている現状を指摘。自己負担割合(医療保険の給付率)が、負担能力の差を超えて年齢によって異なる現状は、「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心」という構造の象徴だと断じた。こうした自己負担割合の偏りから、財務省は負担能力に応じた公平な制度への転換を訴え、70歳以上の自己負担割合を現役世代と同様に原則3割とすることを提言。その実現に向け、具体的な道筋を早急に示す必要があるとした。特に70〜74歳の層については、就業実態などを踏まえ、「一律に高齢者とみなす合理性は薄れている」と指摘。原則3割負担の適用に加え、外来受診時の自己負担に月額上限を設ける外来特例の廃止を提案した。一方、75歳以上については、最終的に「原則3割負担化」を目指しつつも、移行過程では一定の経過措置を設ける可能性があると付記した。ただし、現行の所得区分などの線引きはゼロベースで見直すべきとし、新たに75歳以上となった人については、それまでの負担割合を維持する案などを例示した。さらに、「現役並み所得」がある75歳以上の医療費に公費負担が投入されていない現状を踏まえ、3割負担の対象拡大によって現役世代の負担が増加することのないよう配慮が必要だと指摘。制度改革全体を通じて安定財源を確保し、現役世代の保険料負担が確実に軽減される制度設計とすべきだと改めて訴えた。生活保護受給者の国保・後期高齢者医療制度への加入を検討また、生活保護受給者の医療保険の在り方についても制度の見直しを訴えた。生活保護受給者は、介護保険や年金、労働保険、障害福祉サービスなどの社会保障制度の対象となっている一方で、医療保険のみが除外されていることに言及。さらに、生活保護の開始時に医療保険を脱退し、終了後に再加入する現行の仕組みについて、手続きの煩雑さを招いていると問題視した。その上で、生活保護受給者についても他の社会保障制度と同様に医療保険の対象とすることが望ましいと提言した。生活保護受給者を国民健康保険(以下、国保)や後期高齢者医療制度に組み入れることで、保険者が持つ医療費適正化の機能を活用できる点に着目。生活保護ケースワーカーと緊密に連携しつつ、生活保護受給者の頻回受診、長期入院、重複・多剤服薬への対応など、医療扶助費の適正化・効率化が期待できるとの見方を示した。さらに、国が引き続き必要な公費投入(自己負担・保険料分への扶助費に加え、保険給付部分への財政支援)を行うことを前提として、生活保護受給者の国保・後期高齢者医療制度への加入について具体的な検討を進めるべきではないかとの見解を示した。(HealthDay News 2026年5月13日).参考文献https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20260428zaiseia.html Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved. カテゴリー:医療制度