厚生労働省(以下、厚労省)は7月22日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)保険医療材料専門部会で、特定保険医療材料の市場実勢価格が償還価格を上回るいわゆる「逆ザヤ」の原因を分析するため、製造販売業者や卸業者に関連する団体など販売側へのヒアリングを実施し、実態把握に着手する方針を示した。逆ザヤの機能区分は年々増加し、2025年度の特定保険医療材料価格調査では、全1,314機能区分のうち、35%に当たる460機能区分で逆ザヤが生じていたことが判明。このうち、2026年度材料価格改定において、逆ザヤの機能区分で、保険償還価格を引き上げたのは43機能区分だった。特定保険医療材料費と特定保険医療材料費比率は年々増加している。2023年度の時点で、材料費は1.5兆円、対国民医療費の材料費比率は3.12%だった。ただし、市場実勢価格は、購入側(医療機関・保険薬局など)と販売側(製造販売業者・卸業者など)との間で、価格交渉を経て形成される。そのため、逆ザヤの要因として、物価高騰だけでなく、総費用(以下、コスト)は低いが製造販売業者の価格交渉力が高い場合や、コストが償還価格を上回る場合など、さまざまなケースが考えられる。逆ザヤへの対応として、2026年度診療報酬改定では、市場実勢価格加重平均値が保険償還価格を上回る機能区分について、同一機能区分内でシェアが分散している場合は、特例として、市場実勢価格および物価変動などに基づき基準材料価格を改定可能とした。一方で、「医療機器等の安定供給に支障が出た」または「出るおそれがある」として厚労省へ報告のあった件数は年々増加している。こうした状況を受け、厚労省は逆ザヤの要因を2類型に分けて考察、整理した。(A)寡占・独占状態であることなど、製造販売業者の価格交渉力が高い場合、(B)コストが償還価格を上回っている場合――だ。(A)の場合、コストが償還価格を下回っていても、価格交渉力を背景に販売価格だけが引き上げられることがある。この場合、償還価格を引き上げても価格上昇を追認するだけとなり、問題の解決にはつながらないと考えられる。一方、(B)の場合は、原材料費や人件費、物流費などの高騰によって採算が取れなくなれば、製造販売業者は販売価格を引き上げざるを得ない。この場合は、現行の償還価格が実態に合っていない可能性があり、価格見直しが必要になる。ただし、企業の原価情報は十分に開示されておらず、コストを客観的に把握することが課題となる。こうした整理を踏まえ、厚労省は今秋以降に販売側へのヒアリングを実施し、市場実勢価格が償還価格を上回る製品の現状や価格形成のメカニズム、原価開示の可能性などについて把握することを提案し、了承された。2027年春ごろに逆ザヤの要因などに関する取りまとめを行う方針だ。(HealthDay News 2026年8月5日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74805.html Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.カテゴリー:医療制度