厚生労働省(以下、厚労省)は、10月16日に開催された第218回「社会保障審議会医療保険部会」で、後期高齢者の金融所得を、保険料算定や医療機関の窓口での自己負担割合等の判定に反映させる新たな仕組みの施行時期と窓口負担等への反映スケジュール(案)を報告した。2029年8月から一部の金融所得に関する報告書(以下、法定調書)で導入を開始し、2030年8月に全面実施する方針だ。6月5日に公布された「健康保険法等の一部を改正する法律」では、後期高齢者医療制度において、上場株式の配当などの金融所得を、保険料の算定や医療機関の窓口での自己負担割合等の判定に公平に反映させる仕組みを整備した。これに伴い、金融機関などに対し、法定調書をオンラインで後期高齢者医療広域連合に提出することを義務付けた。背景には、金融所得を確定申告したかどうかによって、保険料や窓口負担に差が生じる問題がある。上場株式の配当などは、確定申告をしなければ市町村が所得を把握できず、保険料などの算定対象にならなかった。このため、申告の有無による不公平の是正が課題となっていた。対象となる法定調書は「特定口座年間取引報告書」や「利子等の支払調書」「国外公社債等の利子等の支払調書」など11種類。このうち6種類は、1年分の所得をまとめて報告する年単位の法定調書で、翌年1月1日から31日までに提出される。 厚労省の案では、制度の施行は2029年1月とする一方、2028年分の所得については年単位の所得をまとめて2029年8月から反映させていく。その後、月単位の法定調書も含め、全11種類の法定調書から把握した金融所得を2030年8月から全面的に反映させる予定。対象を段階的に広げることで、制度の円滑な導入を図る考えだ。後期高齢者2割負担導入後、医療費は3%減 1日当たり医療費への影響は限定的このほか厚労省は、高齢者の医療費窓口負担を巡り、2022年10月の後期高齢者医療制度改革で、一定以上の所得がある高齢者に2割負担を導入した際の受診・受療行動への影響を分析した研究データを提示。同研究は、2021年11月から2023年6月に特定の所得層(課税所得が28万円以上であり、年金収入+その他合計所得が150~250万円[200万円以上は2割負担、200万円未満は1割負担となる基準上下の層])の単身者、約10万人のデータを用いて検証した。その結果、負担割合が1割から2割に変わる直前に医療費が増える「駆け込み需要」があった可能性が示された。一方、負担割合の変更後は、▽医療サービスの利用割合が1%程度減少、▽医療費総額が3%程度減少、▽医療サービスの利用日数が2%程度減少――したことが明らかになった。さらに、分析対象期間を2021年11月から2023年12月に広げ、約155万人の特定の所得層(課税所得が28万円以上145万円未満であり、2割負担の基準上下層に当たる年金収入+その他合計所得が150~250万円[複数は270~370万円])を対象に追加分析したところ、医療費減少の主な要因は受診日数の減少で、1日当たり医療費(単価)の変化は限定的だった。診療種別では、外来と調剤で駆け込み需要と、その後の需要減少が観察された。一方、歯科への影響は限定的で、入院では統計的に有意な変化は確認されなかった。また、15カ月死亡率も制度改正に伴う有意な悪化は認められず、短期的な影響は限定的である可能性が示された。(HealthDay News 2026年10月28日).参考文献https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76752.html Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.カテゴリー:医療制度