統合失調症においては、不眠症が、現在の自殺念慮、重い精神症状、および過去数カ月の自殺未遂と関連していることが、「Journal of Clinical Psychiatry」5/6月号に掲載された論文で明らかになった。 米ジョージア医科大学のBrian J. Miller氏らは、2001年1月から2004年12月にかけて実施された臨床試験Clinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness(CATIE)に参加した1,493人の統合失調症患者のデータを用いて、横断的研究により、現在の不眠症(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒に分類)が、過去2週間の自殺念慮、過去6カ月間の自殺未遂、および現在の精神症状とどのように関連しているかについて分析した。 対象者の研究開始時点の睡眠障害のうち、早朝覚醒についてはカルガリー統合失調症用うつ病尺度(Calgary Depression Scale for Schizophrenia;CDSS)の第7項目(「普段の目覚めよりも早くに目が覚めますか。それは1週間にどのくらいの頻度で起きますか」)により、また、入眠障害と中途覚醒については、「入眠/眠り続けるのが困難ですか」という質問により確認した。試験開始時の自殺念慮については、CDSSの第8項目(「人生に生きる価値はないと感じたことはありますか。人生を終わらせたいと感じたことはありますか。その際、何をしようと考えましたか。実際にその行動を試みたことはありますか」)で確認し、過去6カ月間での自殺未遂については対象者の自己報告により評価した。精神症状については、試験開始時に陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Syndrome Scale;PANSS)で測定した。PANSSは、陽性尺度、陰性尺度、総合精神病理尺度の3サブスケールから成る。 ロジスティック回帰モデルにより複数の交絡因子の影響を調整したところ、早朝覚醒があると現在の自殺念慮のリスクが有意に高く〔オッズ比(OR)2.7、95%信頼区間(CI)2.0〜3.6、P<0.001〕、入眠障害および中途覚醒があると過去6カ月間の自殺未遂リスクが有意に高かった(同5.5、1.4〜21.1、P=0.013)。また、線形回帰モデルによる分析で早朝覚醒との間に有意な関連が見られたのは、PANSSの合計点(β=0.12、P<0.001)、陽性尺度の点数(β=0.11、P<0.001)、および総合精神病理尺度の点数(β=0.14、P<0.001)であった。 著者らは「不眠症を標準的なスケールなどで評価すれば、統合失調症の症状の重さの指標となり得るし、また現場で診療に当たる際に自殺念慮を抱くことや自殺行動に走ることを示唆するものとして意義を有すると考えられる。今回の結果により、このことに対するエビデンスが、また新たに加わったものと考えている」と述べている。(HealthDay News 2021年4月14日)https://consumer.healthday.com/insomnia-tied-to-su….Abstract/Full Text (subscription or payment may be required).Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
統合失調症においては、不眠症が、現在の自殺念慮、重い精神症状、および過去数カ月の自殺未遂と関連していることが、「Journal of Clinical Psychiatry」5/6月号に掲載された論文で明らかになった。 米ジョージア医科大学のBrian J. Miller氏らは、2001年1月から2004年12月にかけて実施された臨床試験Clinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness(CATIE)に参加した1,493人の統合失調症患者のデータを用いて、横断的研究により、現在の不眠症(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒に分類)が、過去2週間の自殺念慮、過去6カ月間の自殺未遂、および現在の精神症状とどのように関連しているかについて分析した。 対象者の研究開始時点の睡眠障害のうち、早朝覚醒についてはカルガリー統合失調症用うつ病尺度(Calgary Depression Scale for Schizophrenia;CDSS)の第7項目(「普段の目覚めよりも早くに目が覚めますか。それは1週間にどのくらいの頻度で起きますか」)により、また、入眠障害と中途覚醒については、「入眠/眠り続けるのが困難ですか」という質問により確認した。試験開始時の自殺念慮については、CDSSの第8項目(「人生に生きる価値はないと感じたことはありますか。人生を終わらせたいと感じたことはありますか。その際、何をしようと考えましたか。実際にその行動を試みたことはありますか」)で確認し、過去6カ月間での自殺未遂については対象者の自己報告により評価した。精神症状については、試験開始時に陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Syndrome Scale;PANSS)で測定した。PANSSは、陽性尺度、陰性尺度、総合精神病理尺度の3サブスケールから成る。 ロジスティック回帰モデルにより複数の交絡因子の影響を調整したところ、早朝覚醒があると現在の自殺念慮のリスクが有意に高く〔オッズ比(OR)2.7、95%信頼区間(CI)2.0〜3.6、P<0.001〕、入眠障害および中途覚醒があると過去6カ月間の自殺未遂リスクが有意に高かった(同5.5、1.4〜21.1、P=0.013)。また、線形回帰モデルによる分析で早朝覚醒との間に有意な関連が見られたのは、PANSSの合計点(β=0.12、P<0.001)、陽性尺度の点数(β=0.11、P<0.001)、および総合精神病理尺度の点数(β=0.14、P<0.001)であった。 著者らは「不眠症を標準的なスケールなどで評価すれば、統合失調症の症状の重さの指標となり得るし、また現場で診療に当たる際に自殺念慮を抱くことや自殺行動に走ることを示唆するものとして意義を有すると考えられる。今回の結果により、このことに対するエビデンスが、また新たに加わったものと考えている」と述べている。(HealthDay News 2021年4月14日)https://consumer.healthday.com/insomnia-tied-to-su….Abstract/Full Text (subscription or payment may be required).Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.