エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取量を増やすことにより、片頭痛に関係する生理活性メディエーターが変化して頭痛が軽減するが、頭痛に関連した生活の質(QOL)は有意には改善しないことが、「The BMJ」に6月30日掲載された論文において明らかにされた。米国立老化研究所のChristopher E. Ramsden氏らは、月に5~20日の片頭痛のある182人(女性88%、平均年齢38.3歳)を対象とした修正二重盲検ランダム化比較試験を実施した。対象者は、オメガ3脂肪酸(EPAとDHA)およびオメガ6脂肪酸(リノール酸)の摂取量がそれぞれ異なる食事パターンのいずれかを16週間にわたって摂取する3群にランダムに割り付けられた。食事パターンの1つ目は、米国のオメガ3脂肪酸とリノール酸の平均摂取量(EPAとDHAの摂取量:150mg/日未満、リノール酸の摂取量:全カロリーの7.2%)を維持する群(対照群、60人)、2つ目は、EPAとDHAの摂取量を1.5g/日まで増やし、リノール酸の摂取量は全カロリーの7.2%を維持する群(H3群、61人)、3つ目は、EPAとDHAの摂取量を1.5g/日まで増やし、リノール酸の摂取量を全カロリーの1.8%以下にまで減らす群(H3-L6群、61人)であった。主要評価項目は抗侵害受容性メディエーターである17-ヒドロキシドコサヘキサエン酸(17-HDHA)の血中濃度と、頭痛インパクトテスト(HIT-6)により評価した頭痛のQOLへの影響とした。また、対象者が記録した頭痛日誌から頭痛の頻度を毎日確認した。intention-to-treat解析の結果、対照群と比較して、両群で17-HDHA値の有意な上昇が認められた〔ベースラインからの調整済み平均差:H3群で0.6(P<0.001)、H3-L6群で0.7(P=0.001)〕。HIT-6のスコアについても両群で改善が見られたが、これらは対照群に比べて統計的に有意ではなかった。頭痛の頻度については、一般化推定方程式モデルを用いた縦断的解析の結果、対照群と比較して両群で有意に減少していた。1日当たりの総頭痛時間はH3群で-1.3時間(P=0.001)、H3-L6群で-1.7時間(P<0.001)、1日当たりの中等度~重度の頭痛時間はH3群で-0.7時間(P<0.001)、H3-L6群で-0.8時間(P<0.001)、1カ月当たりの頭痛日数はH3群で-2日(P=0.003)、H3-L6群で-4日(P<0.001)であった。この結果は、オメガ3脂肪酸の摂取量を増やすことに加え、リノール酸の摂取量を減らすことでより大きなベネフィットが得られる可能性のあることを示唆している。著者らは、「今回の研究は、対象を絞った食事の変更を行うことにより疼痛の治療が可能であるという生物学的に妥当な実証結果を提供している。これらの結果は、オメガ3およびオメガ6脂肪酸と侵害受容を関連づける因果メカニズムを提示しており、慢性疼痛に対する新たな治療法への扉を開くものである」と述べている。(HealthDay News 2021年7月1日)https://consumer.healthday.com/diet-rich-in-omega-….Abstract/Full Text.Editorial.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取量を増やすことにより、片頭痛に関係する生理活性メディエーターが変化して頭痛が軽減するが、頭痛に関連した生活の質(QOL)は有意には改善しないことが、「The BMJ」に6月30日掲載された論文において明らかにされた。米国立老化研究所のChristopher E. Ramsden氏らは、月に5~20日の片頭痛のある182人(女性88%、平均年齢38.3歳)を対象とした修正二重盲検ランダム化比較試験を実施した。対象者は、オメガ3脂肪酸(EPAとDHA)およびオメガ6脂肪酸(リノール酸)の摂取量がそれぞれ異なる食事パターンのいずれかを16週間にわたって摂取する3群にランダムに割り付けられた。食事パターンの1つ目は、米国のオメガ3脂肪酸とリノール酸の平均摂取量(EPAとDHAの摂取量:150mg/日未満、リノール酸の摂取量:全カロリーの7.2%)を維持する群(対照群、60人)、2つ目は、EPAとDHAの摂取量を1.5g/日まで増やし、リノール酸の摂取量は全カロリーの7.2%を維持する群(H3群、61人)、3つ目は、EPAとDHAの摂取量を1.5g/日まで増やし、リノール酸の摂取量を全カロリーの1.8%以下にまで減らす群(H3-L6群、61人)であった。主要評価項目は抗侵害受容性メディエーターである17-ヒドロキシドコサヘキサエン酸(17-HDHA)の血中濃度と、頭痛インパクトテスト(HIT-6)により評価した頭痛のQOLへの影響とした。また、対象者が記録した頭痛日誌から頭痛の頻度を毎日確認した。intention-to-treat解析の結果、対照群と比較して、両群で17-HDHA値の有意な上昇が認められた〔ベースラインからの調整済み平均差:H3群で0.6(P<0.001)、H3-L6群で0.7(P=0.001)〕。HIT-6のスコアについても両群で改善が見られたが、これらは対照群に比べて統計的に有意ではなかった。頭痛の頻度については、一般化推定方程式モデルを用いた縦断的解析の結果、対照群と比較して両群で有意に減少していた。1日当たりの総頭痛時間はH3群で-1.3時間(P=0.001)、H3-L6群で-1.7時間(P<0.001)、1日当たりの中等度~重度の頭痛時間はH3群で-0.7時間(P<0.001)、H3-L6群で-0.8時間(P<0.001)、1カ月当たりの頭痛日数はH3群で-2日(P=0.003)、H3-L6群で-4日(P<0.001)であった。この結果は、オメガ3脂肪酸の摂取量を増やすことに加え、リノール酸の摂取量を減らすことでより大きなベネフィットが得られる可能性のあることを示唆している。著者らは、「今回の研究は、対象を絞った食事の変更を行うことにより疼痛の治療が可能であるという生物学的に妥当な実証結果を提供している。これらの結果は、オメガ3およびオメガ6脂肪酸と侵害受容を関連づける因果メカニズムを提示しており、慢性疼痛に対する新たな治療法への扉を開くものである」と述べている。(HealthDay News 2021年7月1日)https://consumer.healthday.com/diet-rich-in-omega-….Abstract/Full Text.Editorial.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock