アトピー性湿疹、乾癬、化膿性汗腺炎は、慢性腎臓病(CKD)ステージ3~5と弱い関連が見られることが、「British Journal of Dermatology」10月号に掲載された。近年、一般的な炎症性皮膚疾患とCKDの関連性が種々報告されている。この関連性を明らかにすることは、通常診療の中でCKDリスク集団を発見することに有用と考えられる。英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のYochai Schonmann氏らは、英国のリアルワールドデータであるUK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)を用いて、CKDステージ3~5とアトピー性湿疹、乾癬、酒さ、化膿性汗腺炎との関連性を検討した。CPRDから定期的にプライマリケアデータを収集し、集団ベースの症例対照研究と糖尿病患者を対象としたコホート研究の解析を実施した。症例対照研究の対象は、2018年3月時点でCPRDに登録されていた25歳以上のCKDステージ3~5の症例(CKD群、5万6,602人)と、家庭医による診療・年齢・性別をマッチさせたCKDのない対照群(26万8,305人)で、各炎症性疾患の有病率を両群で比較した(平均年齢78.6歳、男性42.3%)。コホート研究の対象は、2004~2018年にCPRDに登録されていた25歳以上の糖尿病患者(33万5,827人、平均年齢58.5歳、男性59.7%)とし、CKDステージ3~5の新規発症率をアトピー性湿疹または乾癬の有無で比較した。CKDステージ3~5の定義は「腎代替療法中(透析療法中)である」、「腎移植を受けている」、「2回のeGFR(mL/分/1.73m2)がいずれも60未満」のいずれかであることとした。症例対照研究では、調整後のモデル(年齢、性別、診療、index of multiple deprivation、糖尿病、喫煙、有害なアルコール摂取、肥満で調整)によりCKD群は対照群よりアトピー性湿疹(オッズ比1.14、99%CI:1.11~1.17)、乾癬(同1.13、1.08~1.19)、化膿性汗腺炎(同1.49、1.19~1.85)の有病率が高かった(条件付きロジスティック回帰分析)。一方で酒さの有病率は低く(同0.92、0.87~0.97)、この傾向は高血圧、心血管疾患で調整しても同様であった。コホート研究では、全体の9.4%がアトピー性湿疹、4.6%が乾癬と診断された。ポアソン回帰モデルを用いてステージ3~5のCKD発生率比を評価したが、アトピー性湿疹または乾癬の既往とCKDステージ3~5の新規発症に関連は見られなかった。著者らは、「今回の研究では、炎症性皮膚疾患とCKDステージ3~5の関連性の本質と経時的病態変化、他の潜在的交絡因子の存在、ならびに炎症性皮膚疾患患者でのCKDスクリーニングの必要性については明らかとなっておらず、さらなる検討が必要である」と述べている。(HealthDay News 2021年11月3日)https://consumer.healthday.com/atopic-eczema-psori….Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock