片頭痛の既症がある患者では、滲出型加齢黄斑変性(AMD)に罹患するリスクが対照群と比べて20%高いことが、「Scientific Reports」に2月2日掲載された論文で明らかになった。早期の血管病変を有する患者では、その後にAMDや関連する他の心・脳血管疾患に罹患することが報告されている。片頭痛の病因に血管が関与するかどうかは依然として議論されているが、一般的には血管病変が主要な原因であるとされている。台北栄民総医院(台湾)のTung-Mei Kuang氏らは、片頭痛と滲出型AMDとの関係を調べるために、台湾国民健康保険データベース(Taiwan National Health Insurance Research Database)の2010年1月~2016年12月のデータを後ろ向きに解析した。滲出型AMDと診断された2万333人(症例群)と、傾向スコアでマッチさせた8万1,332人(対照群)を解析に含めた。χ2検定を用いて、両群の人口統計学的特性、併存疾患、index date(滲出型AMDの最初の診断日)より以前の片頭痛の有病率を評価した。また、多重ロジスティック回帰分析により、両群の片頭痛既往のオッズを算出した。診断の妥当性を高めるために、片頭痛の既往は「index dateまでの3年以内に2件以上の医療機関での片頭痛の診断」と定義した。平均年齢は、症例群で71.3歳、対照群で71.5歳であった(P=0.015)。症例群と対照群では、高血圧、冠動脈性心疾患、index date以前の白内障手術で有意差が見られた(高血圧:68.7%対69.7%、P=0.004;冠動脈性心疾患:31.9%対29.4%、P<0.001;白内障手術:21.7%対13.2%、P<0.001)。Index dateより以前に片頭痛の既往がある人の割合は、症例群6.1%(1,215人)、対照群4.9%(3,969人)と、症例群で有意に高かった(P<0.001)。対照群と比較した症例群の片頭痛既往の未調整オッズ比は1.239〔95%信頼区間(CI)1.160~1.324、P<0.001〕であった。年齢、性別、月収、地理的位置、都会度、脂質異常症、糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、白内障手術で調整したところ、片頭痛既往のオッズ比は1.201(同1.123~1.284、P<0.001)であった。著者らは、「本研究結果は、片頭痛患者が滲出型AMDに罹患する可能性があることを臨床医が認識し、眼科での定期的な眼底検査を勧めるべきであることを示唆している。他の地域や人種でも同様の関連性が見られるかどうかについては、さらなる研究が必要である」と述べている。(HealthDay News 2022年2月7日)https://consumer.healthday.com/odds-of-prior-migraine-up-for-patients-with-neovascular-amd-2656581978.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
片頭痛の既症がある患者では、滲出型加齢黄斑変性(AMD)に罹患するリスクが対照群と比べて20%高いことが、「Scientific Reports」に2月2日掲載された論文で明らかになった。早期の血管病変を有する患者では、その後にAMDや関連する他の心・脳血管疾患に罹患することが報告されている。片頭痛の病因に血管が関与するかどうかは依然として議論されているが、一般的には血管病変が主要な原因であるとされている。台北栄民総医院(台湾)のTung-Mei Kuang氏らは、片頭痛と滲出型AMDとの関係を調べるために、台湾国民健康保険データベース(Taiwan National Health Insurance Research Database)の2010年1月~2016年12月のデータを後ろ向きに解析した。滲出型AMDと診断された2万333人(症例群)と、傾向スコアでマッチさせた8万1,332人(対照群)を解析に含めた。χ2検定を用いて、両群の人口統計学的特性、併存疾患、index date(滲出型AMDの最初の診断日)より以前の片頭痛の有病率を評価した。また、多重ロジスティック回帰分析により、両群の片頭痛既往のオッズを算出した。診断の妥当性を高めるために、片頭痛の既往は「index dateまでの3年以内に2件以上の医療機関での片頭痛の診断」と定義した。平均年齢は、症例群で71.3歳、対照群で71.5歳であった(P=0.015)。症例群と対照群では、高血圧、冠動脈性心疾患、index date以前の白内障手術で有意差が見られた(高血圧:68.7%対69.7%、P=0.004;冠動脈性心疾患:31.9%対29.4%、P<0.001;白内障手術:21.7%対13.2%、P<0.001)。Index dateより以前に片頭痛の既往がある人の割合は、症例群6.1%(1,215人)、対照群4.9%(3,969人)と、症例群で有意に高かった(P<0.001)。対照群と比較した症例群の片頭痛既往の未調整オッズ比は1.239〔95%信頼区間(CI)1.160~1.324、P<0.001〕であった。年齢、性別、月収、地理的位置、都会度、脂質異常症、糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、白内障手術で調整したところ、片頭痛既往のオッズ比は1.201(同1.123~1.284、P<0.001)であった。著者らは、「本研究結果は、片頭痛患者が滲出型AMDに罹患する可能性があることを臨床医が認識し、眼科での定期的な眼底検査を勧めるべきであることを示唆している。他の地域や人種でも同様の関連性が見られるかどうかについては、さらなる研究が必要である」と述べている。(HealthDay News 2022年2月7日)https://consumer.healthday.com/odds-of-prior-migraine-up-for-patients-with-neovascular-amd-2656581978.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock