フレイルとは、年齢とともに体力・気力が低下し、心身の活力が低下した状態を指す。フレイルは関節リウマチ(RA)患者では一般的であり、全死亡と入院のリスクに関連しているという研究結果が、「RMD Open」に3月15日掲載された。英グラスゴー大学健康福祉研究所のPeter Hanlon氏らは、Scottish Early Rheumatoid Arthritis(SERA)コホートとUKバイオバンクの患者データを用いて、RA患者におけるフレイルの頻度、フレイルと疾患活動性や全死亡、入院との関連を調べた。SERAコホートでは、2011年3月から2015年4月の間に新規にRAの診断を受けた899人(平均年齢58.3歳、女性65.2%)が、UKバイオバンクではベースライン時の評価で、RAの診断歴をプライマリケア診療録または入院記録で確認できた3,605人(平均年齢59.5歳、女性70.5%)が対象とされた。フレイルは、両コホートともフレイルインデックスを用いて評価し、UKバイオバンクではフレイリティ・フェノタイプも用いた。また、SERAでは疾患活動性をDisease Activity Score in 28 joints(DAS28)を用いて評価した。フレイルインデックスによる評価では、SERAでは12.1%が中等度のフレイル、0.2%が重度のフレイルであり、UKバイオバンクでは20%が中等度のフレイル、3%が重度のフレイルであった。フレイリティ・フェノタイプを用いると、UKバイオバンクでは23%がフレイル、53.1%がフレイル予備群と判定された。SERAに関して、ガンマ回帰モデルによる分析を行ったところ、フレイルインデックスと、DAS28との関連が確認された。また、同インデックスの平均値は年齢とともに増加し、女性の方が男性よりも、また疾患活動性が高いほど、高い値を示した。さらに治療に伴いDAS28が改善するとフレイルも改善した。フレイルと全死亡、予定外の入院との関連をCox比例ハザードモデルで検討したところ、フレイルインデックスは全死亡と有意に関連し、中等度以上のフレイルのハザード比(HR)はSERAで4.14〔95%信頼区間(CI)1.49〜11.51〕、UKバイオバンクで1.68(同1.26〜2.13)であった。フレイルインデックスは予定外の入院とも関連を示し、中等度以上のフレイルのハザード比はSERAで2.27(同1.45〜3.57)、UKバイオバンクで2.74(同2.29〜3.29)であった。UKバイオバンクにおいては、フレイリティ・フェノタイプで判定されたフレイルも、全死亡(HR 2.30、95%CI 1.71〜3.10)と予定外の入院(同2.38、1.97〜2.87)と有意に関連していた。著者らは、「この研究により、フレイルがあり、RAの疾患活動性が高い患者でも、人によってはRAの治療によりフレイルを改善することができる可能性のあることが示された」と述べている。(HealthDay News 2022年3月21日)https://consumer.healthday.com/frailty-is-common-in-ra-linked-to-mortality-hospitalization-2656994401.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
フレイルとは、年齢とともに体力・気力が低下し、心身の活力が低下した状態を指す。フレイルは関節リウマチ(RA)患者では一般的であり、全死亡と入院のリスクに関連しているという研究結果が、「RMD Open」に3月15日掲載された。英グラスゴー大学健康福祉研究所のPeter Hanlon氏らは、Scottish Early Rheumatoid Arthritis(SERA)コホートとUKバイオバンクの患者データを用いて、RA患者におけるフレイルの頻度、フレイルと疾患活動性や全死亡、入院との関連を調べた。SERAコホートでは、2011年3月から2015年4月の間に新規にRAの診断を受けた899人(平均年齢58.3歳、女性65.2%)が、UKバイオバンクではベースライン時の評価で、RAの診断歴をプライマリケア診療録または入院記録で確認できた3,605人(平均年齢59.5歳、女性70.5%)が対象とされた。フレイルは、両コホートともフレイルインデックスを用いて評価し、UKバイオバンクではフレイリティ・フェノタイプも用いた。また、SERAでは疾患活動性をDisease Activity Score in 28 joints(DAS28)を用いて評価した。フレイルインデックスによる評価では、SERAでは12.1%が中等度のフレイル、0.2%が重度のフレイルであり、UKバイオバンクでは20%が中等度のフレイル、3%が重度のフレイルであった。フレイリティ・フェノタイプを用いると、UKバイオバンクでは23%がフレイル、53.1%がフレイル予備群と判定された。SERAに関して、ガンマ回帰モデルによる分析を行ったところ、フレイルインデックスと、DAS28との関連が確認された。また、同インデックスの平均値は年齢とともに増加し、女性の方が男性よりも、また疾患活動性が高いほど、高い値を示した。さらに治療に伴いDAS28が改善するとフレイルも改善した。フレイルと全死亡、予定外の入院との関連をCox比例ハザードモデルで検討したところ、フレイルインデックスは全死亡と有意に関連し、中等度以上のフレイルのハザード比(HR)はSERAで4.14〔95%信頼区間(CI)1.49〜11.51〕、UKバイオバンクで1.68(同1.26〜2.13)であった。フレイルインデックスは予定外の入院とも関連を示し、中等度以上のフレイルのハザード比はSERAで2.27(同1.45〜3.57)、UKバイオバンクで2.74(同2.29〜3.29)であった。UKバイオバンクにおいては、フレイリティ・フェノタイプで判定されたフレイルも、全死亡(HR 2.30、95%CI 1.71〜3.10)と予定外の入院(同2.38、1.97〜2.87)と有意に関連していた。著者らは、「この研究により、フレイルがあり、RAの疾患活動性が高い患者でも、人によってはRAの治療によりフレイルを改善することができる可能性のあることが示された」と述べている。(HealthDay News 2022年3月21日)https://consumer.healthday.com/frailty-is-common-in-ra-linked-to-mortality-hospitalization-2656994401.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock