乾癬患者では診断遅延が多く見られ、男性患者、特定の部位に病変を有する患者で遅延期間が長いことが、「British Journal of Dermatology」に4月5日掲載されたリサーチレターにおいて明らかにされた。.未診断の乾癬は、生活の質(QOL)の低下、乾癬性関節炎(PsA)、心血管疾患、メタボリック症候群、一部のがんの発症やメンタルヘルスの悪化につながる可能性のあることから、乾癬患者の診断遅延の予測因子を特定することは重要である。.コペンハーゲン大学(デンマーク)のMia-Louise Nielsen氏らは、2020年に皮膚科医により乾癬と診断された患者2,142例を対象に、診断遅延の評価とその予測因子の特定を試みた。患者から、乾癬に初めて気づいてから乾癬を理由に受診するまでにかかった期間の情報を入手した。そのほか、患者背景(性別、年齢など)や、発症年齢、乾癬の体表面積(BSA)、特定部位の病変、乾癬に伴うQOLの低下〔Dermatology Life Quality Index(DLQI)により評価〕などの疾患の特徴を評価した。診断遅延と各評価項目との関連は、Kruskal-Wallis検定およびMann-WhitneyのU検定を用いて解析した。.その結果、患者の半数以上(55.2%)は女性で、乾癬発症時の年齢は18歳以下が32.9%、19~45歳が46.7%、45歳以上が20.3%であった。皮膚科医を受診するまでに、43.5%が1年未満、22.1%が1~2年、17%が2~5年、7%が5~10年、6%が10~20年、4.3%が20年超を要していた。皮膚科医による乾癬診断の遅延の平均年数は、女性で2.7年、男性で3.9年であり、統計学的な有意差が認められた(P<0.001)。BSAが3%未満の患者では、より広範囲に乾癬の既往がある患者よりも診断の遅延期間が長かった(P=0.001)。また、特定部位(頭部、顔、手、足、生殖器)に病変を有する患者では、そうでない患者に比べて診断の遅延期間が有意に長かった(P<0.001)。また、診断の遅延期間が長い患者では、現在のDLQIスコアが高かった(P<0.001)。.著者らは、「乾癬による不可逆的な構造上の損傷リスクを低減し、身体機能の悪化を和らげ、患者のQOLを改善するのに早期診断は重要である。早期検出と適切な治療も、ストレス、不安、抑うつなど乾癬に伴う精神症状の発症を抑えるのに有用かもしれない」と述べている。(HealthDay News 2022年6月21日).https://consumer.healthday.com/predictors-of-diagnostic-delay-in-psoriasis-identified-2657537814.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
乾癬患者では診断遅延が多く見られ、男性患者、特定の部位に病変を有する患者で遅延期間が長いことが、「British Journal of Dermatology」に4月5日掲載されたリサーチレターにおいて明らかにされた。.未診断の乾癬は、生活の質(QOL)の低下、乾癬性関節炎(PsA)、心血管疾患、メタボリック症候群、一部のがんの発症やメンタルヘルスの悪化につながる可能性のあることから、乾癬患者の診断遅延の予測因子を特定することは重要である。.コペンハーゲン大学(デンマーク)のMia-Louise Nielsen氏らは、2020年に皮膚科医により乾癬と診断された患者2,142例を対象に、診断遅延の評価とその予測因子の特定を試みた。患者から、乾癬に初めて気づいてから乾癬を理由に受診するまでにかかった期間の情報を入手した。そのほか、患者背景(性別、年齢など)や、発症年齢、乾癬の体表面積(BSA)、特定部位の病変、乾癬に伴うQOLの低下〔Dermatology Life Quality Index(DLQI)により評価〕などの疾患の特徴を評価した。診断遅延と各評価項目との関連は、Kruskal-Wallis検定およびMann-WhitneyのU検定を用いて解析した。.その結果、患者の半数以上(55.2%)は女性で、乾癬発症時の年齢は18歳以下が32.9%、19~45歳が46.7%、45歳以上が20.3%であった。皮膚科医を受診するまでに、43.5%が1年未満、22.1%が1~2年、17%が2~5年、7%が5~10年、6%が10~20年、4.3%が20年超を要していた。皮膚科医による乾癬診断の遅延の平均年数は、女性で2.7年、男性で3.9年であり、統計学的な有意差が認められた(P<0.001)。BSAが3%未満の患者では、より広範囲に乾癬の既往がある患者よりも診断の遅延期間が長かった(P=0.001)。また、特定部位(頭部、顔、手、足、生殖器)に病変を有する患者では、そうでない患者に比べて診断の遅延期間が有意に長かった(P<0.001)。また、診断の遅延期間が長い患者では、現在のDLQIスコアが高かった(P<0.001)。.著者らは、「乾癬による不可逆的な構造上の損傷リスクを低減し、身体機能の悪化を和らげ、患者のQOLを改善するのに早期診断は重要である。早期検出と適切な治療も、ストレス、不安、抑うつなど乾癬に伴う精神症状の発症を抑えるのに有用かもしれない」と述べている。(HealthDay News 2022年6月21日).https://consumer.healthday.com/predictors-of-diagnostic-delay-in-psoriasis-identified-2657537814.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock