胃酸分泌抑制薬に胎児期に曝露しても13歳までの児のアレルギー疾患リスクに影響はないが、生後6カ月以内に曝露すると喘息発症リスクがわずかに高まるという研究結果が、「JAMA Pediatrics」に1月9日発表された。.成均館大学(韓国)薬学部のYunha Noh氏らは、2008年4月1日から2019年12月31日までに出生した児とその母親414万9,257組を対象に、胎児期および生後6カ月以内(以下、乳児期)の胃酸分泌抑制薬(H2受容体拮抗薬およびプロトンポンプ阻害薬)曝露と13歳まで追跡した児のアレルギー疾患リスクとの関連を検討する全国規模のコホート研究を実施した。種々の潜在的交絡因子と家族内因子による影響を調整するため、曝露群と非曝露群(以下、対照群)について、傾向スコアをマッチさせた場合、および同胞をマッチさせた場合でそれぞれ比較した。解析にはCox比例ハザード回帰モデルを用いた。.胎内曝露については、傾向スコアをマッチさせた80万8,067組を対照群として解析したところ、対照群と比べた曝露群におけるアレルギー疾患全体のハザード比(HR)は、アレルギー疾患全体では1.01〔95%信頼区間(CI)1.01〜1.02〕であり、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーのHRは、それぞれ1.02(同1.01〜1.03)、1.02(同1.01〜1.02)、1.02(同1.01〜1.02)、1.03(同0.98〜1.07)であった。同胞マッチ解析でもHRは同程度であり、胎内曝露による有意な影響は認められなかった(アレルギー疾患全体のHRは1.01、95%CI 0.997〜1.01)。.これに対し、乳児期の曝露については、傾向スコアをマッチさせた8万4,263組を対照群として解析したところ、対照群と比べて曝露群におけるアレルギー疾患全体のHRは1.06(同1.05〜1.07)であり、各疾患のHRはそれぞれ1.16(同1.14〜1.18)、1.02(同1.01〜1.03)、1.05(同1.02〜1.08)、1.28(同1.10〜1.49)であった。このうち喘息のHRのみが、同胞マッチ解析でも1.13(95%CI 1.09〜1.17)と有意に高かった。.著者らは、「子どもに胃酸分泌抑制薬を処方する際には、喘息リスクがわずかに高まる可能性があることに留意すべきだ」と述べている。.なお、複数の著者が、ある製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2023年1月9日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-allergies-2659085009.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
胃酸分泌抑制薬に胎児期に曝露しても13歳までの児のアレルギー疾患リスクに影響はないが、生後6カ月以内に曝露すると喘息発症リスクがわずかに高まるという研究結果が、「JAMA Pediatrics」に1月9日発表された。.成均館大学(韓国)薬学部のYunha Noh氏らは、2008年4月1日から2019年12月31日までに出生した児とその母親414万9,257組を対象に、胎児期および生後6カ月以内(以下、乳児期)の胃酸分泌抑制薬(H2受容体拮抗薬およびプロトンポンプ阻害薬)曝露と13歳まで追跡した児のアレルギー疾患リスクとの関連を検討する全国規模のコホート研究を実施した。種々の潜在的交絡因子と家族内因子による影響を調整するため、曝露群と非曝露群(以下、対照群)について、傾向スコアをマッチさせた場合、および同胞をマッチさせた場合でそれぞれ比較した。解析にはCox比例ハザード回帰モデルを用いた。.胎内曝露については、傾向スコアをマッチさせた80万8,067組を対照群として解析したところ、対照群と比べた曝露群におけるアレルギー疾患全体のハザード比(HR)は、アレルギー疾患全体では1.01〔95%信頼区間(CI)1.01〜1.02〕であり、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーのHRは、それぞれ1.02(同1.01〜1.03)、1.02(同1.01〜1.02)、1.02(同1.01〜1.02)、1.03(同0.98〜1.07)であった。同胞マッチ解析でもHRは同程度であり、胎内曝露による有意な影響は認められなかった(アレルギー疾患全体のHRは1.01、95%CI 0.997〜1.01)。.これに対し、乳児期の曝露については、傾向スコアをマッチさせた8万4,263組を対照群として解析したところ、対照群と比べて曝露群におけるアレルギー疾患全体のHRは1.06(同1.05〜1.07)であり、各疾患のHRはそれぞれ1.16(同1.14〜1.18)、1.02(同1.01〜1.03)、1.05(同1.02〜1.08)、1.28(同1.10〜1.49)であった。このうち喘息のHRのみが、同胞マッチ解析でも1.13(95%CI 1.09〜1.17)と有意に高かった。.著者らは、「子どもに胃酸分泌抑制薬を処方する際には、喘息リスクがわずかに高まる可能性があることに留意すべきだ」と述べている。.なお、複数の著者が、ある製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2023年1月9日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-allergies-2659085009.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock