幼児期に人工内耳を装着すると、装着しなかった場合と比べて思春期の学業成績が優れ、QOLが向上するという研究結果が、「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」に6月29日掲載された。.米マイアミ大学の Ivette Cejas氏らは、人工内耳装着が思春期の学業成績とQOLに与える影響について調べるため縦断コホート研究を実施した。症例は、Childhood Development After Cochlear Implantation研究に参加した、両側に高度~重度の難聴があり、幼児期に人工内耳を装着した188人とし、このうち、諸条件を満たした136人(平均年齢11.47歳)を対象に解析を行った。対照群として、National Longitudinal Transition Study-2に参加した、同レベルの難聴を有するが人工内耳を装着していない340人とし、加えて人工内耳を装着していない者を対象とした複数の論文のデータも比較に用いた。初めの3年間は半年に1度、以後10年間は1年に1度の頻度で評価した。解析には線形混合効果モデルを用いた。.その結果、幼児期に人工内耳を装着すると、同じレベルの難聴で人工内耳を装着していなかった場合と比べて、思春期の学業成績(Woodcock-Johnson法により評価)が優れていた。特に、生後18カ月までの早期に人工内耳を装着した45人は、読み・書き・計算能力に関しては、年齢および性別の標準以上の成績を示した。また、人工内耳を装着した者は、装着しなかった者と比べてQOL(Pediatric Quality of life Inventoryにより評価)のスコアも高かった。さらに、早期に人工内耳を装着した者は、Youth Quality of Life Instrument-Deaf and Hard of Hearing(11~18歳を対象)における3つの領域(自己受容、参加、スティグマ)全てにおいて高いスコアを示した。.以上から著者らは、「幼児期までに人工内耳を装着すると、思春期における学業成績は標準レベルよりも高く、特に生後18カ月までに装着した者の読み・書き能力は最も優れていた。さらに、QOLも思春期全体を通じて改善が見られた。今回の結果は、難聴の早期発見と早期介入がいかに重要であるかを示すものだ」と結論付けている。.なお、1人の著者が、Decibels社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2023年6月30日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-cochlear-2662027687.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
幼児期に人工内耳を装着すると、装着しなかった場合と比べて思春期の学業成績が優れ、QOLが向上するという研究結果が、「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」に6月29日掲載された。.米マイアミ大学の Ivette Cejas氏らは、人工内耳装着が思春期の学業成績とQOLに与える影響について調べるため縦断コホート研究を実施した。症例は、Childhood Development After Cochlear Implantation研究に参加した、両側に高度~重度の難聴があり、幼児期に人工内耳を装着した188人とし、このうち、諸条件を満たした136人(平均年齢11.47歳)を対象に解析を行った。対照群として、National Longitudinal Transition Study-2に参加した、同レベルの難聴を有するが人工内耳を装着していない340人とし、加えて人工内耳を装着していない者を対象とした複数の論文のデータも比較に用いた。初めの3年間は半年に1度、以後10年間は1年に1度の頻度で評価した。解析には線形混合効果モデルを用いた。.その結果、幼児期に人工内耳を装着すると、同じレベルの難聴で人工内耳を装着していなかった場合と比べて、思春期の学業成績(Woodcock-Johnson法により評価)が優れていた。特に、生後18カ月までの早期に人工内耳を装着した45人は、読み・書き・計算能力に関しては、年齢および性別の標準以上の成績を示した。また、人工内耳を装着した者は、装着しなかった者と比べてQOL(Pediatric Quality of life Inventoryにより評価)のスコアも高かった。さらに、早期に人工内耳を装着した者は、Youth Quality of Life Instrument-Deaf and Hard of Hearing(11~18歳を対象)における3つの領域(自己受容、参加、スティグマ)全てにおいて高いスコアを示した。.以上から著者らは、「幼児期までに人工内耳を装着すると、思春期における学業成績は標準レベルよりも高く、特に生後18カ月までに装着した者の読み・書き能力は最も優れていた。さらに、QOLも思春期全体を通じて改善が見られた。今回の結果は、難聴の早期発見と早期介入がいかに重要であるかを示すものだ」と結論付けている。.なお、1人の著者が、Decibels社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2023年6月30日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-cochlear-2662027687.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock