網膜光干渉断層計(OCT)の検査結果は、腎障害の非侵襲的モニタリングおよび予後予測バイオマーカーとして機能する可能性があることが、「Nature Communications」に12月5日報告された。.英エディンバラ大学のTariq E. Farrah氏らは、網膜OCTによる腎障害の追跡、治療反応の提示、アウトカムの予測が可能かを検討した。検討対象は、透析導入前の慢性腎臓病(CKD)患者、腎移植を受けた腎不全患者、生体腎ドナー、健康なボランティアであった。.その結果、健康なボランティアと比較した場合、網膜の菲薄化と黄斑体積の減少の程度についてはCKD患者と腎移植患者で同程度だったことが分かった。ただし、脈絡膜の菲薄化についてはCKD患者では認められたものの、腎移植患者では認められず、健康なボランティアと同程度だった。CKD患者における脈絡膜の菲薄化の程度は、推算糸球体濾過量(eGFR)の低下および腎臓の瘢痕化の程度と関連していた。脈絡膜の厚さは、腎移植患者では腎移植後に急速に増加し(約10%)、1年間維持されたのに対し、腎ドナーでは腎提供後12カ月間で徐々に薄くなった。網膜と脈絡膜の厚さはCKD患者における2年後のeGFR低下と独立して関連していた。.著者らは「OCT指標は既に、多発性硬化症の臨床試験のアウトカムの尺度として組み込まれている。今回のデータは、これらの指標をeGFRや蛋白尿とともに、将来のCKDの臨床試験において心血管リスクや腎臓病進展リスクを個別に測る指標として組み込める可能性を示すものである」と述べている。(HealthDay News 2023年12月11日).https://www.healthday.com/healthpro-news/general-health/retinal-oct-can-act-as-prognostic-biomarker-of-kidney-injury.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
網膜光干渉断層計(OCT)の検査結果は、腎障害の非侵襲的モニタリングおよび予後予測バイオマーカーとして機能する可能性があることが、「Nature Communications」に12月5日報告された。.英エディンバラ大学のTariq E. Farrah氏らは、網膜OCTによる腎障害の追跡、治療反応の提示、アウトカムの予測が可能かを検討した。検討対象は、透析導入前の慢性腎臓病(CKD)患者、腎移植を受けた腎不全患者、生体腎ドナー、健康なボランティアであった。.その結果、健康なボランティアと比較した場合、網膜の菲薄化と黄斑体積の減少の程度についてはCKD患者と腎移植患者で同程度だったことが分かった。ただし、脈絡膜の菲薄化についてはCKD患者では認められたものの、腎移植患者では認められず、健康なボランティアと同程度だった。CKD患者における脈絡膜の菲薄化の程度は、推算糸球体濾過量(eGFR)の低下および腎臓の瘢痕化の程度と関連していた。脈絡膜の厚さは、腎移植患者では腎移植後に急速に増加し(約10%)、1年間維持されたのに対し、腎ドナーでは腎提供後12カ月間で徐々に薄くなった。網膜と脈絡膜の厚さはCKD患者における2年後のeGFR低下と独立して関連していた。.著者らは「OCT指標は既に、多発性硬化症の臨床試験のアウトカムの尺度として組み込まれている。今回のデータは、これらの指標をeGFRや蛋白尿とともに、将来のCKDの臨床試験において心血管リスクや腎臓病進展リスクを個別に測る指標として組み込める可能性を示すものである」と述べている。(HealthDay News 2023年12月11日).https://www.healthday.com/healthpro-news/general-health/retinal-oct-can-act-as-prognostic-biomarker-of-kidney-injury.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock