米国の早産率は郡レベルで見ると大きな格差があり、これは同時に社会的な脆弱性とも関係することを明らかにした横断研究が、「JAMA Network Open」に12月8日掲載された。.米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のSadiya S. Khan氏らは、米国立保健統計センター(NCHS)のNational Vital Statistics Systemからの2007~2019年の出生登録データを用いて、郡ごとの年齢標準化早産率を推定した。このデータには、2,383郡における出生児5104万4,482人の、母親の年齢、在胎期間、出生年、居住している郡に関する情報が含まれていた。.主要評価項目は妊娠37週未満での出生(以下、早産)、副次評価項目は妊娠34週未満での出生(以下、早期早産)とし、これらの数と総出生数を、母親の年齢層別(15〜44歳につき5歳階級)および出生年別に集計した。郡ごとおよび出生年ごとの2種類の年齢標準化早産率をベイズ型多変量時空間条件付自己回帰モデルにより推定し、早産率の変化を対数線形回帰モデルにより検討した。加えて、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の社会的脆弱性指数(SVI;社会的経済的地位など4つの指標から成る)との関係も検討した。.その結果、2007年の米国全体としての年齢標準化早産率(出生100対)は、早産で12.6〔95%信頼区間(CI)12.6〜12.7〕、早期早産で3.6(同3.6〜3.6)であった。ところが、これを郡レベルで見ると格差は大きく、早産率で郡を順位付けしたところ、90パーセンタイルと10パーセンタイルの差は、早産で6.4(同6.2〜6.7)、早期早産で2.2(同2.1〜2.3)、最も高い郡と最も低い郡の差は、早産で20.7、早期早産で7.2に及び、この差は2019年においても同程度だった。.居住地レベルで検討すると、早産については、南東部のいくつかの郡は一貫して最も高率で、カリフォルニア州とニューイングランド州の郡が最も低率だった。米国全体としては、2007~2019年の間、早産の総変化率は−5.0%(95%CI −10.7〜0.9)、早期早産は−3.0(同−6.4〜0.5)と、いずれも有意な変化ではなかった。ところが、15.4%の郡では早産の率に、28.3%の郡では早期早産の率に、それぞれ有意な上昇が認められた。さらに、SVIの四分位群ごとに早産のリスクを検討したところ、2007年には、SVIが高いほどリスクは上昇し〔最低四分位群を1としたリスク比は、第2四分位群で1.08(95%CI 1.06〜1.10、第3四分位群で1.18(同1.15〜1.20)、最高四分位群で1.34(同1.31〜1.36)〕、この傾向は対象期間を通じて認められた。早期早産のリスクについても同様の結果であった。.著者らは、「6郡に1つ近くの郡で早産率が上昇していたが、米国全体としての率だけを見ていると、このような地域レベルの変化が見えなくなる。また早産は、社会的に不利な条件と関係することも判明したことから、地域格差を抑えることを目的に掲げる施策の策定責任者、研究者、臨床医は、今回判明した郡レベルの早産の実態を、さまざまな介入を考えたり評価したりする上で役立てられるだろう」と述べている。.なお、複数の著者が、製薬会社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2023年12月8日).https://www.healthday.com/healthpro-news/womens-health/geographic-variability-seen-in-county-level-preterm-birth-rates.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
米国の早産率は郡レベルで見ると大きな格差があり、これは同時に社会的な脆弱性とも関係することを明らかにした横断研究が、「JAMA Network Open」に12月8日掲載された。.米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のSadiya S. Khan氏らは、米国立保健統計センター(NCHS)のNational Vital Statistics Systemからの2007~2019年の出生登録データを用いて、郡ごとの年齢標準化早産率を推定した。このデータには、2,383郡における出生児5104万4,482人の、母親の年齢、在胎期間、出生年、居住している郡に関する情報が含まれていた。.主要評価項目は妊娠37週未満での出生(以下、早産)、副次評価項目は妊娠34週未満での出生(以下、早期早産)とし、これらの数と総出生数を、母親の年齢層別(15〜44歳につき5歳階級)および出生年別に集計した。郡ごとおよび出生年ごとの2種類の年齢標準化早産率をベイズ型多変量時空間条件付自己回帰モデルにより推定し、早産率の変化を対数線形回帰モデルにより検討した。加えて、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の社会的脆弱性指数(SVI;社会的経済的地位など4つの指標から成る)との関係も検討した。.その結果、2007年の米国全体としての年齢標準化早産率(出生100対)は、早産で12.6〔95%信頼区間(CI)12.6〜12.7〕、早期早産で3.6(同3.6〜3.6)であった。ところが、これを郡レベルで見ると格差は大きく、早産率で郡を順位付けしたところ、90パーセンタイルと10パーセンタイルの差は、早産で6.4(同6.2〜6.7)、早期早産で2.2(同2.1〜2.3)、最も高い郡と最も低い郡の差は、早産で20.7、早期早産で7.2に及び、この差は2019年においても同程度だった。.居住地レベルで検討すると、早産については、南東部のいくつかの郡は一貫して最も高率で、カリフォルニア州とニューイングランド州の郡が最も低率だった。米国全体としては、2007~2019年の間、早産の総変化率は−5.0%(95%CI −10.7〜0.9)、早期早産は−3.0(同−6.4〜0.5)と、いずれも有意な変化ではなかった。ところが、15.4%の郡では早産の率に、28.3%の郡では早期早産の率に、それぞれ有意な上昇が認められた。さらに、SVIの四分位群ごとに早産のリスクを検討したところ、2007年には、SVIが高いほどリスクは上昇し〔最低四分位群を1としたリスク比は、第2四分位群で1.08(95%CI 1.06〜1.10、第3四分位群で1.18(同1.15〜1.20)、最高四分位群で1.34(同1.31〜1.36)〕、この傾向は対象期間を通じて認められた。早期早産のリスクについても同様の結果であった。.著者らは、「6郡に1つ近くの郡で早産率が上昇していたが、米国全体としての率だけを見ていると、このような地域レベルの変化が見えなくなる。また早産は、社会的に不利な条件と関係することも判明したことから、地域格差を抑えることを目的に掲げる施策の策定責任者、研究者、臨床医は、今回判明した郡レベルの早産の実態を、さまざまな介入を考えたり評価したりする上で役立てられるだろう」と述べている。.なお、複数の著者が、製薬会社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2023年12月8日).https://www.healthday.com/healthpro-news/womens-health/geographic-variability-seen-in-county-level-preterm-birth-rates.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock