クローン病に対するトップダウン治療(インフリキシマブと免疫調整薬の併用療法)は、従来の促進ステップアップ治療よりも、転帰が相当程度改善するという研究結果が、「The Lancet Gastroenterology & Hepatology」に2月22日掲載された。
英ケンブリッジ大学のNurulamin M. Noor氏らは、クローン病治療の指針となる推定予後予測バイオマーカーの使用を評価した。この解析では対象患者を、トップダウン療法(189人;インフリキシマブと免疫調節薬の併用による早期の免疫抑制療法)または促進ステップアップ療法(190人;従来型の治療)のいずれかの治療戦略にランダムに割り付けた。
解析の結果、バイオマーカーと治療の相互作用効果は認められなかった(絶対差1%ポイント、95%信頼区間-15~15)。トップダウン群では、ステロイド不使用および手術を行わない持続的寛解率が、促進ステップアップ群よりも有意に高かった(79%対15%)。トップダウン群では、促進ステップアップ群より、疾患再燃を含む有害事象および重篤な有害事象も少なく(有害事象:168件対315件、重篤な有害事象:15件対42件)、腹部手術を必要とする合併症も少なかった(1件対10件)。重篤な感染に有意差はなかった(3件対8件)。
著者らは、「トップダウン治療は、活動性クローン病と新たに診断された患者の、標準治療として考慮されるべきである」と述べている。
なお複数人の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2024年3月5日)
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