強迫性障害患者では非感染性疾患による死亡と外因死のリスクが高い

強迫性障害患者では非感染性疾患による死亡と外因死のリスクが高い

強迫性障害(obsessive-compulsive disorder;OCD)患者は、内分泌・栄養・代謝疾患や呼吸器疾患などの非感染性疾患による死亡と自殺や事故などの外因死のリスクがともに高いことが、「The BMJ」に1月17日掲載された論文で明らかにされた。

 カロリンスカ研究所(スウェーデン)のLorena Fernández de la Cruz氏らは、スウェーデンの患者や死亡などに関する登録データを用いて、OCD患者の全死亡リスクおよび死因別死亡リスクを、OCDではない一般集団および患者のきょうだいとの比較で推定した。1973年1月1日から2020年12月31日の間にOCDの診断を受けた6歳以上の患者6万1,378人と、OCD患者と性別、出生年、OCDの診断時に居住していた郡を一致させたOCDではない対照を、患者1人につき10人選び出した(61万3,780人)。その上で、患者とその対照を、最初にOCDの診断が記録された日から、死亡する、他国へ移住する、本試験終了日(2020年12月31日)を迎える、のいずれかが生じるまで追跡した。Cox比例ハザードモデルにより、対照と比べたOCD患者の診断から死亡までの時間に関するハザード比と95%信頼区間(CI)を推定した。

 中央値8.1年(四分位範囲3.9〜13.3年)の追跡期間中にOCD患者4,787人と対照3万619人が死亡した(粗死亡率はそれぞれ1,000人年当たり8.1人と5.1人)。出生年、性別、居住郡、移住の有無(出生地がスウェーデンか外国か)、社会人口統計学的因子(最終学歴、婚姻状況、収入)で調整して解析した結果、OCD患者は対照と比べて全死亡リスク(HR 1.82、95%CI 1.76〜1.89)、自然な死因による死亡リスク(同1.31、1.27〜1.37)、および外因死(自殺や事故など)による死亡リスク(同3.30、3.05〜3.57)が有意に高いことが明らかになった。

 死因別に見ると、OCD患者では対照に比べて、内分泌・栄養・代謝疾患(同1.54、1.28〜1.86)、精神・行動障害(同1.63、1.42〜1.87)、神経系疾患(同1.20、1.01〜1.43)、循環器疾患(同1.36、1.28〜1.43)、呼吸器疾患(同1.69、1.51〜1.90)、消化器疾患(同1.20、1.01〜1.43)、泌尿生殖器系の疾患(同1.52、1.15〜2.02)などの自然な死因による死亡リスクが高く、逆に新生物による死亡リスクは低かった(同0.87、0.80〜0.94)。外因による死亡では、自殺のハザード比が最も高く(同4.90、4.40〜5.46)、次いで多いのは事故であった(同1.92、1.68〜2.19)。

 さらに、家族に関わる交絡の影響を排除するために、OCD患者3万4,085人と、患者と父母を同じくするがOCDの診断を受けたことのないきょうだい4万7,874人から成るきょうだいコホートを対象にした解析も行った。

 中央値8.1年の追跡期間中にOCD患者1,503人とそのきょうだい1,261人が死亡していた(粗死亡率はそれぞれ1,000人年当たり4.7人と2.7人)。Cox比例ハザードモデルによる解析で推定されたHRは、全死亡で1.87(95%CI 1.67〜2.03)、自然な死因による死亡で1.51(同1.35〜1.68)、外因による死亡で3.10(同2.52〜3.80)であり、マッチさせた対照を用いた解析結果と一致することが示された。

 著者らは、「OCD患者が致命的な転帰を迎えるリスクを減らすために、サーベイランスを改良して予防戦略を講じ、早期に介入を実施するべきだ」と述べている。(HealthDay News 2024年1月22日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/mental-health/obsessive-compulsive-disorder-linked-to-increased-mortality

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