17歳以下の者では軽度外傷性脳損傷後4年間は感情障害と行動障害のリスクが高い

17歳以下の者では軽度外傷性脳損傷後4年間は感情障害と行動障害のリスクが高い

17歳以下の者では、軽度外傷性脳損傷(mild traumatic brain injury;mTBI)受傷後4年間は、感情障害や行動障害の新規発症リスクが高まるとする研究結果が、「Pediatrics」に1月25日掲載された論文で明らかになった。

米カイザー・パーマネンテヴァレーホ医療センターのRichard L. Delmonico氏らは、北カリフォルニアをベースとする統合ヘルスケアシステムの電子健康記録(EHR)を用いて、17歳以下の者でmTBI受傷後4年間に新規に感情障害や行動障害を発症するリスクが高まるかを検討した。まず2000~2014年にmTBIの診断(意識障害が30分未満で頭蓋内には傷害部位はないなど)を受けた17歳以下の者1万8,917人を症例とした。対照として、救急外来を受診し、症例と年齢、性別、人種/民族、受診月をマッチさせた、mTBIの診断を受けていない患者を、症例1人につき2人(計3万7,834人)選び出した。

 4年間の追跡期間中のmTBI群および対照群の精神障害(感情障害、行動障害、およびそれらのサブタイプ)の相対リスク(RR)を、全体として、および年齢層別(0〜5歳、6〜9歳、10〜13歳、14〜17歳)に解析した。解析には、一定区間における区間打ち切りデータを扱う、ロジットリンク関数を用いた一般化線形モデルを採用し、年齢、性別、人種、低所得地域、およびEHR導入期を調整した。

 その結果、対照群と比べたmTBI群の感情障害の発症リスクは、受傷後4年を通算すると25%高かった(RR 1.25、95%信頼区間1.19〜1.31、P<0.0001)。年単位で見ると、受傷後3年目まではリスクが有意に高く、特に2年目は34%増と最も高かったが(同1.34、1.23〜1.46、P<0.0001)、4年目には有意でなくなった。年齢層別に見ると、4年を通算したリスクが有意に高かったのは10〜13歳と14〜17歳のみで、年単位で見て最も高かったのは10〜13歳での受傷後2年目だった(同1.48、1.27〜1.72、P<0.0001)。

 対照群に比べたmTBI群の行動障害の発症リスクは、受傷後4年を通算すると18%高かった(同1.18、1.10〜1.26、P<0.0001)。年単位で見ると、受傷後2年目と4年目でリスクがそれぞれ21%(同1.21、1.06〜1.39、P=0.0057)と37%(同1.37、1.17〜1.61、P=0.0001)有意に高かった。年齢層別に見ると、4年を通算して有意に高いものはなかったが、年単位で見ると10〜13歳の1年目と2年目のみ有意に高かった(1年目:同1.31、1.08〜1.60、P=0.0058、2年目:同1.50、1.20〜1.89、P=0.0004)。

 著者らは、「17歳以下でmTBI受傷を経験すると、その後4年間は感情障害や行動障害の新規発症リスクが有意に高くなることが判明した」と述べ、「この年齢層の者がmTBIを経験した場合、感情障害や行動障害のスクリーニングを受傷後、継続的に行えば、回復の邪魔になる持続性の病態を見つけ出せると思われる」と結論付けている。(HealthDay News 2024年1月25日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/risk-for-affective-behavioral-disorders-increased-in-children-after-mtbi

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