予期せぬ乳児突然死(sudden unexpected infant death;SUID)の60%近くは添い寝をしている場合に発生しており、添い寝例では非添い寝例に比べて、死亡時の月齢が低く、非ヒスパニック系黒人と公的保険加入者の多いことが、「Pediatrics」に2月20日掲載された論文で明らかにされた。
米疾病対策センター(CDC)のAlexa B. Erck Lambert氏らは、2011年から2020年の間に米国の23の地理的管轄区に居住する住民の間で生じた、死亡時12カ月未満の8,192例のSUID症例について、人口統計学的属性(死亡時の月齢、性別、人種/民族、出生時の在胎週数、保険の種類、多胎/単胎)、睡眠環境(死亡時の姿勢と場所、柔らかい寝具の有無、添い寝を除く危険な睡眠関連の因子の数)、添い寝をしている乳児では、誰と添い寝をしているかなどを調べた。乳児が死亡時に誰か(乳幼児、小児、成人、動物)と一緒に寝ていた場合、寝ていた場所(大人用ベッド、ベビーベッド、ソファーなど)を問わず、「添い寝」と見なした。添い寝群と非添い寝群のそれぞれについて、人口統計学的属性、睡眠環境、その他の特徴の頻度と割合を計算し、これら2群と各因子との関連をχ2検定で評価した。
情報が不足している症例などを除外した7,595例のSUID症例が解析対象とされ、このうちの59.5%(4,520例)が死亡時に添い寝していた。非添い寝群(3,075例)に比べて添い寝群には、死亡時月齢が0〜3カ月(56.7%対73.2%)、非ヒスパニック系黒人(28.7%対42.2%)、公的保険加入者(64.3%対75.1%)、死亡時の姿勢が仰臥位(32.6%対41.1%)、死亡時の場所が大人用ベッド(22.0%対75.7%)、椅子・ソファー(4.4%対15.7%)である頻度が高かった。全SUID症例の76%(添い寝群3,691例、非添い寝群2,083例)が、3つの危険な睡眠関連の因子(柔らかいまたはたるみの出る寝具や物の使用、ベビーベッド以外での睡眠、うつ伏せまたは横向きの姿勢で睡眠)のうち、2つ以上を有していた。しかし、これら危険な睡眠関連の因子3つ全てを有していた割合は、非添い寝群での21.0%に対し、添い寝群では31.3%に達していた。さらに、非添い寝群に比べて添い寝群は、死亡時に親が見守っていた場合は多かったものの(72.5%対87.2%)、見守り役が物質使用により十分に役割を果たしていなかった場合が多く(4.7%対16.3%)、また出生前に母親の喫煙に晒されていたことが多かった(30.5%対41.4)。
著者らは「今回の結果からして、児の安全な睡眠のために全ての家庭に対し、あらゆる機会を捉え、どんな場所に児を寝かせるかにとどまらない、睡眠に関わる要因全てをひっくるめた指導を行うべきだ」と述べている。(HealthDay News 2024年2月20日)
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