学校の給食無償・低額化で生徒の肥満出現率が低下

学校の給食無償・低額化で生徒の肥満出現率が低下

低所得地域の学校に通う生徒に朝食と昼食を無償や低額で提供することを目的としたプログラムであるCommunity Eligibility Provision(CEP)に参加した学校では、参加しない学校と比べて、生徒の肥満出現率が低下することが、「Pediatrics」に3月18日掲載された論文で示された。

 米ワシントン大学のAnna M. Localio氏らは、米カリフォルニア州のCEP対象校3,531校の公立学校で2013〜2014年度から2018〜2019年度にかけて毎年春に収集された、5年生、7年生、9年生のBMI測定値を用いて、学校における肥満の出現率を算出し、CEP参加と肥満出現率との関連を検討した。対象とされた生徒は計354万6,803人(ヒスパニック系72%、白人11%、黒人7%)であり、平均80%の生徒が無料または低額の昼食提供の対象となる条件を満たしていた。学校ごとにCEP参加の時期に差があることから、差分の差分法を用いて参加した学校と非参加の学校との間で肥満出現率を比較し、また、回帰モデルで共変量を調整してCEP参加が肥満出現率にもたらす影響を推定した。

 3,531校のうち、127校は2014〜2015年度、426校は2015〜2016年度、264校は2016〜2017年度、128校は2017〜2018年度、968校は2018〜2019年度にCEPに参加したが、残る1,618校は研究対象期間の間にはCEPに参加していなかった。1年間で生徒1人に提供された無償の食事が、参加校では41.1食増加したのに対し、非参加校では3.7食減少した結果、差分の差分としては44.8食増加した。同様に、差分の差分として、正規の値段の食事は11.3食減少、低額の食事は20.1食減少となり、これらを通算すると参加校で13.4食の増加となった(参加校で11.7食増加、非参加校では1.6食減少)。さらに、ベースライン時の肥満の出現率は25%であったが、解析の結果、参加校では非参加校に比べ、参加後に肥満出現率が正味で0.60パーセントポイント減少した(推定値−0.60、95%信頼区間−1.07〜−0.14、P=0.01)。これは、ベースラインの肥満出現率の相対減少率が2.4%であったことを意味する〔(25−24.4)/25]。

 著者らは、「学校給食無償化が子どもの健康状態を良好なものにすることに寄与しているというエビデンスは増えつつあるが、今回の結果もその一つに数えられよう」と述べ、「このような施策は、小児肥満への対処のために期待できる方法として象徴的なものだ」と付言している。(HealthDay News 2024年3月18日)

 https://www.healthday.com/healthpro-news/child-health/participation-in-free-school-meals-program-cuts-obesity-prevalence

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