デジタル認知行動療法は長期的な健康問題から生じる抑うつや不安を有意に軽減

デジタル認知行動療法は長期的な健康問題から生じる抑うつや不安を有意に軽減

セラピストの介入を最小限に抑えたデジタル認知行動療法が、長期的な身体の健康問題(long-term physical health condition;LTC)に関連した抑うつや不安などの精神的苦痛を効果的に軽減することを示したランダム化比較試験(RCT)の結果が、「Psychological Medicine」に2月14日掲載された。

英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のFederica Picariello氏らは、LTCを持つ者が抱える精神的苦痛(不安、抑うつ)を軽減する目的でKCLの研究者が開発した、セラピストの支援下で行うデジタル認知行動療法プログラム「COMPASS」の臨床的有効性を評価するために、RCTを実施した。解析には、5つの国立LTC UK慈善団体を通じて募集したLTCを有する18歳以上の成人194人を、COMPASSによる介入を受ける群(94人)と慈善団体が提供しているサービスや資源から成る通常の治療を受ける群(100人)にランダムに割り付けた。COMPASSによる介入では、11種類のカスタマイズされた治療モジュールにアクセス可能なほか、1回30分のセラピストによる電話でのサポートセッションを5回受けることができた。

ランダム化前、およびランダム化から6週間後(治療中)と12週間後(治療終了後)に、Patient Health Questionnaire(PHQ-9)とGeneralized Anxiety Disorder Scale(GAD-7)の両方を含んでいるPatient Health Questionnaire Anxiety and Depression Scale(PHQ-ADS)を用いた評価をオンラインで行った。PHQ-ADSでは、各項目を0〜3のリッカート尺度で評価して0〜48点のスコアを算出する。高スコアほど精神的苦痛が高いと見なされ、4点以上の増加や減少は「臨床的に意味のある変化」(minimum clinically important difference;MCID)とされる。主要評価項目は、12週間後にPHQ-ADSで評価した精神的苦痛(抑うつと不安の複合スコア)、副次評価項目は、抑うつ(PHQ-9で評価)、不安(GAD-7で評価)、日常機能〔Work and Social Adjustment Scale(WSAS)で評価〕、新型コロナウイルス感染症関連の苦痛〔Illness Perceptions Questionnaire-Revised(IPQ-R)のサブスケールで評価〕、疾病関連の苦痛(2項目の評価尺度で評価)、疾患の自己管理に対する知識と自信〔13項目のPatient Activation Measure(PAM)で評価〕、LTC症状の重症度・LTC症状の改善度〔いずれも1項目のPatient Global Impression Scale of Severity(PGI-S)で評価〕、QOL〔European Quality of Life Scale(EQ-5D-3L)で評価〕とした。解析はITT解析とし、ランダム化から6週間後と12週間後の介入効果を、個々の対象者やセラピストに対するランダム効果を考慮した線形混合効果モデルにより推定した。

194人のうち6週間後と12週間後の追跡調査を受けたのは、それぞれ143人(73.7%)と162人(83.5%)だった。12週間後のCOMPASS群でのPHQ-ADSの平均スコアは、通常治療群よりも6.82点〔95%信頼区間(CI)4.55〜9.10〕有意に低かった(P<0.001、標準化平均差0.71、95%CI 0.48〜0.95)。12週間後にPHQ-ADSの評価で「臨床的に意味のある改善」を報告した対象者の割合は、COMPASS群で88.7%(63/71人)に上ったのに対し、通常治療群では45.1%(41/91人)であった。

副次評価項目については、ランダム化から12週間後に、COMPASS群で抑うつ(標準化平均差0.62)、不安(同0.70)、疾患関連の苦痛(同0.56)に対して中等度の有意な治療効果、日常機能(同0.30)およびQOL(同0.17)に対しても軽度の有意な治療効果が認められた。

12週間後に、PHQ-ADS、PHQ-9、GAD-7のスコアが悪化した者の割合は、対照群で2.2〜11.0%であったのに対し、COMPASS群では0〜1.4%であった。有害事象の発生率は両群で同程度であり、COMPASS群では3人が重篤な状況となったが、これは COMPASSによる介入が原因ではなかった。

著者らは、「COMPASSは、実施する際には利用者の数や状況に応じて調整の効く、保健サービスのモデルであると思われる。だが、現場がこの方法を使えるようになるまでには、まだまだ検討すべき課題が残っている」と述べている。(HealthDay News 2024年2月23日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/mental-health/digital-cognitive-behavioral-therapy-cuts-psychological-distress

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